シリウスに手を伸ばして

□はじめましてとスカウト
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「ライ!ナイスイン!」

幼なじみの涼太の声がした。私は目の前にいるディフェンスをフェイクを使って抜く。そのままレイアップまで続くと、ボールがネットに吸い込まれていく。今日も私の調子は上々だ。

帝光中。中学のバスケ界の頂点にいる学校の名前だ。そこに私たちはいる。



練習が終わり、私を待っていた涼太と会う。モデルをやっている涼太とは幼なじみ。幼稚園からずっと一緒で、家族ぐるみの付き合いだ。そんな涼太とはいつも登下校を共にする仲。この習慣は昔からのもので、今更なくなることもないのだろう。

ライはこの帝光中女子バスケ部のエースとしてチームに在籍している。この帝光中の彼女の存在を知らない者は、ある程度のレベルにいるバスケットプレイヤーとしてはいないだろう。それほどまでに彼女はうまい。

ところで、最近涼太もついにバスケを始めたようだ。私が楽しいよと言ったって、今まで振り向かなかったのに誰かのプレーを見て魅了されたらしい。

『今日男バスは休み?』

そう私が尋ねれば涼太が返す。

「今日は自主練っスよ。まだ多分誰かいるっスよ」

涼太が私の手を引っ張り、男バスの体育館に連れ出す。

『こっちは練習終わったばっかなんですけど』

「いーじゃないっスか!俺結構ライとの1on1好きなんで!!」

このわんこの相手をするのも前までは良かったが段々辛くなるのだろう。バスケの動き方を知らない頃は運動神経がいいとは言えまだ良かった。でも今は早くも男バスの一軍だ。本当に器用な幼なじみを持ったと思う。

体育館に入ると、そこにはカラフルな世界が広がっていた。

『…派手なとこ』

ここに涼太もいればもっと派手なのだろう。赤に紫に緑に青。髪色考えろよ。てか引っかかんだろバスケの協会に。
そう思っていたら、緑の人が話しかけてきた。

「黄瀬帰ってきたのか」

「ちょっとライを迎えに行ってたんっスよ」

緑の人がこちらを凝視した。…喧嘩売ってんのか。
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