平和と家
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『とりあえず服着て』
名前がそう言った。スクアーロは自制心を保たせるため、Tシャツを着た。名前はふぅ、とため息をついた。
「悪いなぁ、気ぃ遣わせて」
スクアーロはコーヒーを出してきた。広いスクアーロの自室に置かれたテーブルに置く。
『ありがとう。体調は大丈夫なの?』
「大丈夫だぁ、気にすんな」
スクアーロもソファに腰掛け、コーヒーを飲んだ。まったりとした空気になった。
そんな中スクアーロの頭の中にあるのは、ルッスーリアから今日言われた言葉。名前との関係は壊したくない。でも一歩前進すれば、この想いは通じ合えるかもしれない。スクアーロは悩んだ。最近ベルが付きっきりの名前に想いを伝えるのは、今がチャンスなのだ。ベルもちゃんとは想いを伝えていないのだろう。
『スクアーロ?』
突然話しかけられた。
『ここ。皺よってる』
名前が自身の眉間を指さして言った。
『スクアーロ…悩みでもあるの?』
名前が首を傾げた。スクアーロは唸る。
「なくはねぇが、大丈夫だぁ」
この皺の原因がお前だなんて、言える訳がない。でも募る思いは大きくなって、苦しくなっていた。
『遠慮しないで言ってよ』
名前はちょっと怒ったように言った。言ったら困るんじゃないか。そう思った。困らせたくない。失いたくない。そればかり考えていたはずなのに気づいたら口走っていた。
「好きだ」
名前は固まる。
「お前が、名前が好きだ」
口の中が乾く。名前はまた赤面した。スクアーロは何も言わない名前にちょっとイラっとして、隣に座っていた名前の腕を引いた。
『わっ、スクアーロ…!!!』
名前は簡単にスクアーロの胸に飛び込む。スクアーロの長い両腕が名前を抱き締めた。
『スクアーロ、ちょっと…離して…』
名前が言う。でもスクアーロは聞こえないフリをした。