平和と家
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「あんまり無理しすぎると幹部全員嫌な気分になるんで我慢も程々にして下さいよー」
フランはそう言う。
「皆ミーの記憶とはどこか違うんですよー。10年後の記憶より皆雰囲気とか柔らかいですー」
『そうなんだ…。』
10年後の皆を見てみたい、なんて思った。
「そしてミーの記憶と今には一つ違いがあるんですー」
『どんな違い?』
「それは名前先輩の存在ですー」
ここでまさか自分の名前が出るとは思っておらず名前は驚いた。
「記憶の中には堕王子とかロン毛隊長とかはいるんですけどー、名前先輩はいなかったんですー。だからきっと先輩があの人たち変えてるんですかねー」
フランはそう言って天を仰いだ。
(皆を変えてるなんて、本当だろうか。)
名前はそう思った。そしてそれはいいことであったらいい、そう思った。結局名前はそれから一時間フランと一緒にぐだぐだと一緒に話したりして過ごした。
雲雀が帰ってきたのでセラフィムをまたボックスから出した。最初は羽の攻撃からまた始め、次に超音波、また羽の攻撃でその日の修行は終えた。
「三半規管がだいぶやられてるからしっかり休養とりなよ。明日までやったら多分君に限界が来るだろうから明日はしない方向でいいね」
たしかにあんなに立てなくなるようなことをしたので雲雀のその判断に甘えさせてもらうことにした。雲雀が帰った後も少しフラフラしながら室内に戻った。談話室の前を通ると皆いつの間に帰ってきたのか、談話室内は賑やかそうだった。だがバランス感覚が乏しく疲れてもいるこの体でその中に入っていくことは勿論せずに自室へ戻った。
自室に着くと名前はベッドにばふん、と倒れ込んだ。ちょっとくらくらしたので仰向けに横になって目を閉じた。そして疲れ果てていた名前はそのまま寝てしまった。
次の日。気づくと日光が部屋を照らしていた。名前はバランス感覚を取り戻したことを確認し、ベッドから降りてシャワーを浴びた。シャワーを終え、髪を乾かすとすぐに談話室へ向かった。
談話室に入るとそこにはスクアーロとルッスーリアがいた。