平和と家
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「天使とは言え人の形をしたボックスなんて始めてみるわぁ」
ルッスーリアが言う。
『私ももうちょっと人間離れしたものだと思ってたよ』
セラフィムは名前の肩に腰掛けていた。
『おいで』
名前が手をさしのべるとセラフィムは手に乗っかる。
「…その大きさだと妖精みたいだね」
『確かにね。でもまぁ…』
セラフィムが乗った右手を自分の目の前にまで持ってくる。
『よろしくね、セラフィム』
そう言うとセラフィムはにこりと笑った。
「セラフィムって天使階級一番の天使じゃないか」
マーモンがそう言った。
「天使階級なんてあるの?」
「そうだよ。とは言っても宗教とかそっち系の話だけどね」
マーモンはそう言ってカップにある牛乳を飲んだ。
名前はセラフィムを出したまま午前中はずっと談話室で過ごした。午後になると自分の部屋でセラフィムと2人でいた。
15:00をまわった頃。名前の自室の扉がノックされた。
「名前〜?ボスが呼んでるわよ?」
ルッスーリアの声。
『わかったー』
名前は座っていたベッドから飛び降り、セラフィムと一緒に部屋を出た。
『ボス呼んだ?』
名前はザンザスの自室に行った。
「…お前に銃の使い方を教えてやる」
ザンザスが紅い目を名前に向ける。
『…銃の使い方?撃てばいいんじゃないの?』
「当たらなきゃ意味ねぇだろ」
『…』
いつの日か当てなきゃいけない日が来るとは思う。でもどうにかして避けられないか、なんて甘えの気持ちが生じる自分がいる。
「狙いを定められるってことは外すことも出来る」
ザンザスはそう言った。やっぱりザンザスの前で隠しごとは出来なさそうである。
『ボスが見てくれるの?』
「ああ。俺から直々に教えてやる」
ザンザスはそう言うと立ち上がりヴァリアーの隊服の上着を羽織った。
「ついて来い」
名前はそう言ったザンザスの後ろを黙ってついて行った。