平和と家

□10
4ページ/9ページ

「天使とは言え人の形をしたボックスなんて始めてみるわぁ」

ルッスーリアが言う。

『私ももうちょっと人間離れしたものだと思ってたよ』

セラフィムは名前の肩に腰掛けていた。

『おいで』

名前が手をさしのべるとセラフィムは手に乗っかる。

「…その大きさだと妖精みたいだね」

『確かにね。でもまぁ…』

セラフィムが乗った右手を自分の目の前にまで持ってくる。

『よろしくね、セラフィム』

そう言うとセラフィムはにこりと笑った。

「セラフィムって天使階級一番の天使じゃないか」

マーモンがそう言った。

「天使階級なんてあるの?」

「そうだよ。とは言っても宗教とかそっち系の話だけどね」

マーモンはそう言ってカップにある牛乳を飲んだ。

名前はセラフィムを出したまま午前中はずっと談話室で過ごした。午後になると自分の部屋でセラフィムと2人でいた。

15:00をまわった頃。名前の自室の扉がノックされた。

「名前〜?ボスが呼んでるわよ?」

ルッスーリアの声。

『わかったー』

名前は座っていたベッドから飛び降り、セラフィムと一緒に部屋を出た。









『ボス呼んだ?』

名前はザンザスの自室に行った。

「…お前に銃の使い方を教えてやる」

ザンザスが紅い目を名前に向ける。

『…銃の使い方?撃てばいいんじゃないの?』

「当たらなきゃ意味ねぇだろ」

『…』

いつの日か当てなきゃいけない日が来るとは思う。でもどうにかして避けられないか、なんて甘えの気持ちが生じる自分がいる。

「狙いを定められるってことは外すことも出来る」

ザンザスはそう言った。やっぱりザンザスの前で隠しごとは出来なさそうである。

『ボスが見てくれるの?』

「ああ。俺から直々に教えてやる」

ザンザスはそう言うと立ち上がりヴァリアーの隊服の上着を羽織った。

「ついて来い」

名前はそう言ったザンザスの後ろを黙ってついて行った。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ