平和と家
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「…やっぱり何でかはわかってないのよね〜」
ルッスーリアは眉でハの字を作った。
『何が?』
「いや、これは私に聞いちゃだめなのよー」
ルッスーリアはごめんなさい、なんて言ってる。
「名前は王子のだから知らなくていいし」
ベルはそう言って名前の肩を抱きぐっとベルの方へ寄せた。
『ベル!?』
名前はちょっと赤面した。ベルはまたうししっ、と笑う。ルッスーリアはそれを見て微笑んでいた。
次の日。
「名前、てめぇのだ」
ザンザスが名前に小さな立方体を投げた。ついにボックスが届いたのだ。
『ありがとうございます』
名前はペコリと頭を下げた。
「…ありがとう」
『え?』
ザンザスの言葉に耳を疑う。
「…ありがとうでいい」
ザンザスはそう言ってグラスを傾ける。名前は意味を理解し、うん、と言った。
ザンザスの自室を出る。そしてヴァリアー邸の庭には学ラン姿の雲雀がいた。
「届いたかい?なら昨日の炎をその穴に注ぐんだ」
雲雀はそう言い、自身のボックスにも炎を灯した。すると、ハリネズミが出てきた。
『かわいい!』
「…ロールだよ」
雲雀はそう言い、ロールを左手にのせて微笑んだ。そんな笑顔に一瞬胸が高鳴った。
(あんな顔も出来るんだ)
名前はリングに炎を灯しボックスに炎を注いだ。するとボックスが開いて中から何かが飛び出した。その動物は…
『…天使…?』
羽が生えた人間、俗に言う天使が出て来た。
「洒落てるね」
雲雀は笑う。
『…セラフィムって言うんだ…』
ボックス兵器と名前は会話をした。
「今日はそいつと打ち解けておいてよ」
雲雀はそう言うともう帰ってしまった。
『行こうか、セラフィム』
セラフィムは頷き、名前の後をついて行った。
「あら?名前、修行は?」
談話室にいたのはルッスーリアとマーモン。
『雲雀が今日はボックスと打ち解けてって』
「…これがボックスかい?」
『らしいよ』
マーモンは不思議そうな顔。