シリウスに手を伸ばして
□もやもや
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私は今まで才能を周りに認められてからチームとして負けることはもちろん、個人として負けることも圧倒的に勝ちに比べ少なかった。
だからこそ、たまに味わう負けにすごく苦しく辛く思ったし、勝てないことは嫌だと思う。勝つのは自分でありたいと、勝つことが第一だと思う。でも青峰や皆といて、何か違うような気が最近していた。私は何か、大切な何かを忘れているような気もした。
ダンクしたあの時の青峰の笑顔を思い出し、胸の奥が苦しくなった。何が原因で何が私をこうさせるのだろう。
私の心をこの問題はしばらく覆い尽くすものとなった。そして、解決は涼太から持ちかけられた。
「ライ?」
『ん?あ、ごめん。何?』
最近たまに起きる。話をしている途中にもそのことを考えてしまって、こうなる。
「…最近ライこういうこと多くないスか?」
涼太が言った。さすが幼なじみ、と言ったところだろうか。
「何かあったんなら聞くっスよ?」
涼太が私の顔をのぞき込んだ。
私は涼太になら話してもいいだろう、と思った。幼なじみだし、涼太に隠し事なんてしたことなかったから。
『いや…実はさ』
私はこう切り出して自分の胸中を語った。
涼太は最初ぽかんとしたが、ちゃんと話は聞いてくれていた。
『…どう思う?』
私が涼太に言うと、涼太はちょっと困ったように笑った。
「いや、どうもこうもそれってライが青峰っちを好きってことじゃないっスか?」
『は?』
好き?
「あれ?違うっスか?」
涼太が首を傾げてきた。が。私は意味を理解してからすぐに顔が真っ赤になった。
『わ、私が青峰を好き?』
「自分でも気づいてなかったってことっスか」
涼太が言った。
『え、いや。…好きなの?私が青峰を?』
正直そう言われると、そんなことはないとすぐに否定してしまう理性があって。でも涼太の言うことに間違いはなさそうで。
「でもそういうのって焦って答えだしても仕方ないっスよ?」
涼太が言った。