黒子short

□Severe and Gentle
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「ライと話がしたかった。ただそれだけだ」

赤司君が言った。

読心術!?
そう思って赤司君の方を見たらわかりやすいから、なんて言われる始末。やっぱり赤司君は赤司君だ。

『え、じゃ話って?』

そう聞いたら赤司君の足が止まった。

「お前の未来を予約したい」

『え?』

「これからしばらくは総体が始まって全中まである。だから全中が終わるまではバスケに集中していたい。その後だ」

赤司君が淡々と話しているが、イマイチ言っている意味がわからない。

『どういうこと?』

尋ねてみれば、赤司君はきょとんとした私の顔を見てため息をついた。

「…鈍感」

『えぇっ…』

情けない声が漏れた。だが赤司君はそれを無視して、私の手を握る手を強く引いた。

『わ、』

赤司君に飛び込んでしまったが、赤司君は難なく私を受け止める。赤司君の腕が背中にまわるのを感じ、体温が急上昇。そんな密着した状態のまま赤司君は話し続けた。

「中学のバスケを引退したら、付き合え」

赤司君の言ってることがわかり、頭の中はもっと混乱した。

『つ、付き合えって…』

「俺に逆らうのか、ライ」

耳元で囁かれる低音。くすぐったくなって力が抜ける。

『…私でいいの?さつきみたいな可愛いマネージャーだってもっといるし…』

イマイチ釣り合わないんじゃないかって思う。
私なんかがこのキセキの世代のキャプテンの赤司君とお付き合いするだなんて。

「俺はさつきが好きなんじゃない。ライが好きだから言ってるんだ」

赤司君が言った。そんなこと言われたら、もう俯くしかできない。こんな真っ赤な顔見られるのは恥ずかしいから。

『…じゃその時はよろしくお願いします』

それだけ言った。
赤司君が私を離してくれて、また私の手を握って歩き出した。ドキドキするのは変わらないのに、さっきよりも緊張するような気がした。

家に着いたので、送ってくれた赤司君にお礼を言った。

『送ってくれてありがとう。…気をつけてね?』

「ああ」

赤司君が家とは逆方向に歩き出す。

『赤司君、また明日!』

そう言ったら、赤司君が振り返った。

「今はまだいいけど、付き合い始めたら下の名前で呼べるよう練習しとけよ」

そう言って赤司君はまたな、と再び歩を進めた。
そんなことを言われてやっぱり私の顔は真っ赤。今日は赤司君に言い負かされてばかりのような気がした。












(もうこれで黄瀬が抱きついたりしても怒れるな…)

赤司はそんなことを考えながら夜の闇を一人歩いた。
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