キラキラ2

□過去でも未来でも
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主1や主2が沖田家にてそんなやり取りをしているころ、主3と主4は町へと買い出しに来ていた。


「今日は皆で鍋だから買い出しも頑張ろうね」

「うん!よーし、買うぞー!!」

「あ、コラ、走んないの…むぐ!」


急に走り出した主4を追いかけようとする主3。だがそのせいで突然角から曲がってきた誰かとぶつかってしまった。


「おわ!悪いなおんし!怪我はないか?」

「こ、こちらこそごめんなさい!前を見てなくて…!」


ぶつかってしまった相手は男の人で、その男はぶつかった主3の肩を力強く支えた。思ったより近い距離に主3は顔を赤くしてパッと離れる。


「おい辰馬〜、何してんだ。こんな田舎のスーパーで揉め事なんておこすなよ」

「金時!大丈夫ぜよ。ちょっと女子とぶつかってしもうただけきに」

「!!?!」


突然ぶつかった男の後ろから金時と呼ばれたまた別の男がやってきた。だが主3はその人物を見て大きく目を見開く。


「銀…ちゃん……?」


そこにいたのは、見間違えるなんて絶対あり得ない、坂田銀時だった。だがいつもの銀時よりもどことなく若い。


「(もしかして過去の銀ちゃん…?)」

「え、何々そんなに俺のこと見つめちゃって。もしかして恋しちゃった?フォーリンラブしちゃった?」

「え?」

「ん〜、あんた可愛いし今夜一発ぐらいやっちゃう?」

「は?」

「金時何言うとるんじゃ。今回はたまたま遠征の途中でここに寄っただけで明日には発つじゃろう。一発も二発もやっとる暇はないぜよ」

「一発ぐらいならやる暇あんだろ」

「いんや、ない」


目の前で破廉恥なことを言い合うモジャモジャ頭の男と過去の銀時に主3は話についていけずただただ呆気にとられていた。
すると突然そんな主3の手を銀時がスルリと持ち上げた。


「な?今夜、どう?」


銀時からの甘いお誘いに、主3は一瞬ビックリとした顔をした後、にっこりと笑って返した。そして次の瞬間には銀時の手をパッと払った。


「あ、あれ?」


まさか笑顔からの払いのけられるとはさすがの銀時も思ってはいなかったのか戸惑いを見せる。主3は再度ニコリと笑った。


「後何年後か先でまた同じことが言えたら、その時は考えます」


それだけ言うと主3はくるりと踵を返した。


「はっはっは!金時、振られたの〜!」

「………」

「金時?」

「!う、うっせぇ!つか金時じゃねぇって何回も言ってんだろーが!!」


辰馬に言い返しながら銀時は再び主3の去って行った方向を眺める。


「(なんかよく分かんねーけど、今すげぇドキッとした)」






そしてそのころ、主4はというと。


「肉は〜やっぱり〜国産〜ふふん!」


鼻歌混じりに今夜の鍋の材料を先に選んでいた。


「後、白滝白滝…」


主4がそう言って白滝へと手を伸ばした時、誰かがラスト一個だった白滝を先に横から取っていった。思わず主4は「白滝!」と声をあげる。


「む、何だ。お主も白滝が欲しいのか」


見上げると白滝を手にした髪の長い男が真面目な顔で立っていた。主4はおずおずと答える。


「今日の鍋に使うんです…」

「そうか…それじゃあ…」


長髪の男はそう言うと主4に持っていた白滝を渡した。


「い、いいんですか…?」

「あぁ、鍋に白滝は必須だろう。白滝のない鍋なんてサングラスのないタモさんと同じだ」

「例えはちょっとよく分からないけど、ありがとうございます!」


白滝を譲ってくれた長髪の男に主4はとびきりの笑顔でお礼を言う。そのとたん、男が目もとを押さえて「ぐっ」と唸った。


「え!どうしたんですか!?」

「な、何だか俺にはお主の笑顔が物凄く眩しかった…」

「何それ!?大丈夫なんですか?」


屈みこむ長髪の男を心配して主4はその顔を覗き込む。だがそうすると男はさらに唸り声をあげた。


「いかん!それ以上俺に近づくな!!目が!目がァア!!」

「ム、ムスカ!?」


なんだかこの面倒くさいノリが自分のよく知る親友の一人とかぶった主4はとりあえずツッコミをいれる。長髪の男はというとそのままどこかへ走って消えていってしまった。


「変な人!でもまぁ白滝ゲット、ということで!」


主4はそう言うと白滝を買い物カゴの中に入れて買い物を再開する。
そのころにははぐれていた主3ともやっと合流することができた。そしてその主3から主4がお怒りを受けたのは言うまでもない。
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