キラキラ2
□決心
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主4と主1が鬼兵隊へ行くことが続いていたある日、ついに主3に「ちょっと話がある」と部屋へ呼ばれた。
「え、えっと、話って急にどうしたの主3ちゃん」
部屋へ入れば主3は明らかに怒った顔をしており、その隣に座る主2もどこか曇った表情をしていて、今から話されることが明るい話ではないことが安易に予知できた。
主1と主4と適当に腰を下ろすと、主3がゆっくりと口を開いた。
「最近、深夜にどこに行ってるの?」
「!」
「………」
明らかに動揺する主1に、ただただ沈黙する主4。
「答えないなら当てようか?」
「鬼兵隊」
主4がやっと口を開いた。
「気づいてたんだね、主3」
「明らかに様子がおかしかったからね。でも、気づいてるのは屯所内ではあたしと主2だけ。けど、こんなこと続けて、土方さん達にまでバレるのは時間の問題だよ」
「わかってる…」
「じゃあもう行くのやめて」
主3の言葉に再び主4は黙る。
「あたし達が真選組の一員なのぐらい分かってるでしょう?それに鬼兵隊には真選組の者だって何人も殺されてる。鬼兵隊はあたし達の敵なんだよ」
「……っ…てる」
「いつか絶対足元すくわれる。真選組の皆に迷惑かける前にもう……」
「分かってるってば!!!」
急に声を荒げた主4に主3だけじゃなく、隣に座っていた主1もビクリと肩を揺らした。
「…主3には…わかんないよ。主4のことなんて」
「主4、高杉がただ悪い奴じゃないってことはうちも理解してる。でもいつ危険な目に合うか…」
「主2にはもっとわかんないよ!!」
口を挟んだ主2に主4はまたも声を荒げて、キッと涙を溜めた瞳で睨みつけた。
「主2は高杉さんから好かれてるからそうやって止める立場になれるんだよ。いいよね、主2は。わざわざ会いに行かなくても高杉さんの方から来てくれるんだもん」
「……」
「でも主4は違うからこうやって深夜に抜け出して会いに行ってるんだよ。なのに、それをダメだなんて言わないでよ…」
主4は着物の裾を強く握りしめながら俯いた。そんな主4に主2は何か言おうと口を開けるが、何も言えずにただ口を閉じる。
「(主4は分からないって言うけど、主4の気持ちくらいうちだって分かる。…うちだって、もし土方さんが敵で鬼兵隊にいたら会いに行ってたと思うもの。それに、想いが一方通行な気持ちだって…痛いくらい分かる)」
自分の土方への片想いを重ね合わせて辛そうに眉を寄せる主2。
「(分かるからこそ、何も言えない)」
押し黙る主2。
だが主3は主4の言う事に動じず、真っ直ぐに主4の瞳を見返した。
「それでも、あたしは真選組の一員である主4と主1が鬼兵隊に通うことは許されないことだと思うよ」
「………っ」
「!主4ちゃん…!」
主4は部屋から飛び出して走っていってしまった。
主1は主4を追いかけようするが、部屋から出る直前で主3と主2に振り返った。
「…主3ちゃんの言ってること、間違ってないよ。というか、主3ちゃんの言ってることこそが正しいと思う。でもね、私は今回は主4ちゃんの想いを優先するね」
そう言うと主1は主4を追いかけて走っていった。
少しして主3は主1と主4の出ていった方を見つめてポツリと呟いた。
「泣かせちゃった。言わない方がよかったのかな」
「主3が言わなかったらそのうち土方さん達にバレてもっと大騒ぎになってたわよ…。主1も言ってたように、主3は間違ってないわ」
主2も二人の出て行った方を見つめる。
「後は、主4次第でしょ。大丈夫よ、主4は確かに我儘で泣き虫だけど、ちゃんと芯の通った女だもの」