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□なんちゃってメロドラマ
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※レンリン
「嫌っ!!レン、放して!!」
リンが暴れて、乱暴に腕を掴むレンを振り払おうとするが…しかし、そこはレンも一歩も引く気配がない。リンの折れそうなくらい細い腕を掴んで、逆に引き寄せようとする。
「は?ふざけんなよ!!放す訳ねぇだろ!」
そんなレンを、リンは目に涙をためて睨み付けて、吐き捨てるように言った。
「レンはいつも、そう。いつもいつも、そうやってあたしを束縛して!!毎回、あたしがレンの思い通りになると思ったら大間違いよ!!あたしはレンの所有物じゃない!!」
「なっ!所有物って……別にそんなこと思ってねぇし…言ってもねぇだろ!」
「うるさいうるさいうるさいうるさい!!もういいじゃない!!…もう自由にしてよ……もう、あたしのことなんてほっといてよ!!!!」
「…嫌だ。……てか、ほっとけるかよ………こんな状況で…」
「で…アンタたちは一体何をやってる訳…?」
そこでやっと、この家一番の常識人メイコが、呆れたように背後から黄色い双子に声をかけた。
「「え?」」
その瞬間、リンもレンもやっと二人の世界から帰ってくる。
「だぁってぇー!聞いてよー、めー姉!あのね、レンがリンに外、出ちゃダメって言うんだよ!?」
ふくれっ面をするリンに、レンが指でリンのほっぺたを潰しながら言う。
「つーかダメに決まってんだろ?リン、もっかい落ち着いて窓の外見てみろよ」
窓の外に視線を向けると…外は一寸先も見えないような暴風雨。どしゃぶりの雨が風と共に、乱暴に窓ガラスを打ちつけていた。こんな状況では一歩も家から出られそうにない。
そう、久しぶりの電車も止まる程の大型台風が、今まさに直撃中だったのだ。
「見たもん!見たから、外行きたいって言ったんじゃん!!」
「バカリン!!何言ってんだよ!てか、風も強いし、リン細いし軽いから飛ばされちゃったらどうすんだよ!!」
「いいじゃん!空飛ぶの、楽しそうじゃん!!」
「そういう問題じゃねぇ!!」
「じゃあ何がいけないの!?レンはリンが嫌いなの!?だからイジワル言うの!?」
「だーかーらー!!…い、意地悪とかじゃなくてさ……何ていうか…俺、リンがケガとかしたら嫌だし…」
「……レン…」
レンがそっとリンの手を握ると、リンもそれを握りかえした。そしてそのまま、見つめ合う二人。
完全にまた二人の世界に旅立っている。
「わかったから。アンタたち、いちゃいちゃするなら自分たちの部屋に戻ってからにしてくれる?」
流石に頭痛がしてきたメイコが、こめかみを押さえて言うと、
「「はーい」」
リンとレンがようやくリビングから移動を開始した。
「てか、リン、外はダメよ」
「ちぇーっ」
「な、言ったろ?今日はおとなしく部屋で俺とゲームでもして遊ぼうぜ」
「うん。じゃあ、あたし、マリカーやりたい!!」
「えー、リンいつも逆走して勝負になんないしなー」
「今日は逆走しないもん!!」
そんな双子を見送りながら、メイコは大きなため息をつき、
そして、その直後
「今日も平和だねー」
とKY発言をしたカイトは、メイコに無言でチョークスリーパーをかけられたのだった。
― なんちゃってメロドラマ ―
リンとレンはこうやってナチュラルにいちゃこらすればいい
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