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翌日から、
城内や、王の周囲の人間であたしに不自然な態度をとる人間がいないかと、注意深く観察してみたが、
残念ながらそんな人間は見つけられなかった。
このあたしにその空気すら悟らせないとは…
…敵もかなり修羅場慣れしている手練れなのかも知れない。
いっそ、あたしの存在がバレているということを
任務の失敗を、上に報告するか…?
いや、任務の失敗は、あたしの里では[ 死 ]を意味する。
どうせ、くだらない人生
ちっぽけなあたしの命
そんなものはどうでも良かったが、
今、あたしが死ぬということは、
城で孤立する黄色の王を助けるものが誰もいなくなるということ
隣国から狙われている、彼の命を救えるものが誰もいなくなるということを意味していた。
それだけはできない。
まだ死ぬ訳にはいかない。
そう思うとあたしはまだ逃げる訳にはいかなかった。
ならば、こちらも今まで以上に用心して動かなければいけない
何食わぬ顔でスパイを続けながら、侍女の役を演じきらなくてはならない。
あたしはキツく拳を握った。
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