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「…………どうして…?」









あたしはショックで動けなかった。







次のページ




次のページが存在しなかったのだ。







次のページがあるはずの場所には

誰かに破り取られたような跡があり、




あたしが必要とするページだけが消失していた。











「なんで!?なんでなの!?」





何度確認してもないものはなかった。






「……そんな…そんなことって………」









ショックでへたり込みそうになり



そこで、あたしは気づいてしまった。









誰かがあたしに…


スパイの存在に気づいているのかも知れないということに。









あれほど探しても見つけられなかった文献が

この部屋には、不自然なほど無造作においてあった。




そしてその本には

わざわざご丁寧に乱暴に破り取った跡まで残してくれている。









誰かがあたしの存在に気づき、

その上であたしをあざ笑っているとしか思えなかった。







今まで、黄色の国に関する情報をどんなに探しても見つけることができなかったのは


仮に…ソイツが

あたしが欲しがるような情報の書かれた記録物を先回りして消していたからだとしたら……?





いや、そうとしか思えなかった。





信じたくはないが………そうでなければ、ここまで何も見つからないはずがないのだ。






そう考えると、全ての事実が繋がった。







心臓の音が不自然なほど大きく聞こえる。


なんだか震えが止まらない。




あたしは弾かれるようにして立ち上がると、


その場を逃げるように後にした。







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