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一方で、





あたしは諦めきれずに、

黄色の国のアキレスになりうる情報を探し続けた。





けれど、


そんな必死のあたしをあざ笑うかのように


探しても探しても、黄色の国の不利益になるような情報は見つからなかった。




というより、黄色の国の深部や暗部に繋がるようなものを、


あたしは、何一つ見つけることができなかった。









王立図書館の禁帯出の書架にも

王の執務室の金庫にも



何もなかった。






情報に繋がる小さな欠片すら、存在しなかった。








いっそ不自然なくらい本当に何もなかったのだ








ありえない。

そんなことはありえない。






一般的な書物も

文献も

密書も

王族だけが閲覧できるレベルの、国の全てを記した記録書も


何かひとつくらいあってしかるべきなのだ。






それなのに……










焦ったあたしは、危険を冒して

王族しか入れないはずの秘密の部屋に忍び込んだ。





そこでやっと見つけたのだ。






黄色の国の国事に関する書物を











「この本なら……!この本ならきっと…!!」




あたしは、その書物を食い入るように読み進めた。


散々探して、やっと、王族しか知り得ないレベルの情報が書かれている書物を見つけたのだ。








これでレン様を助けられるかも知れない!!

レン様を殺さないで済む理由が見つかるかも知れない!!








そう思ってあたしは

はやる心を抑えて、見つけた細い糸をたぐり寄せるように慎重に読み進めた。








そしてついに次のページに…



次のページに、黄色の国の重要な機密情報が書かれているだろうと思われる




そういうところまで読み解いた。








やっとやっとここまでたどり着いた!








あたしは大きく息を吸って、ページをめくった。




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