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翌日も、
その翌日も
レン様はあたしに何も言わなかった。
いつもと変わらず、大臣のおべっかを鼻で笑い
無表情で淡々と、終わりの見えない執務をこなし
気分転換に、とあたしの入れたお茶を飲んだ。
レン様はいつもと変わらない様子で、あたしにだけは笑いかけ
まるであの夜のことなんてなかったかのように、あたしに接してきた。
だから、あたしも同じように接した。
いつものように、侍女としてレン様のお側に侍り、
レン様の好むお湯の温度でお茶を入れ、
請われるままに、本を朗読した。
あたしには、そうすることしかできなかった。
レン様は何も言わなかったが
近衛隊長だったあの男は、更迭されたと聞いた。
周りのものたちはみな驚き、理由を求めて王の元を訪れたそうだが、
レン様は、いつもと同じ無表情のまま、何も話そうとしなかったらしい。
そのことについても、
触れないことが暗黙のルールであるかのように、
お互い何も言わなかった。
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