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マズイ。




このままでは、ただされるがままになってしまう。



これでは、手練手管どころの話ではない。








「ま、待ってください!もっとゆっくりお話してから…」

「そんなこと言って、お前だってそのつもりで来たんだろ?」





やんわりと押しのけようとしたハズが、逆に腕を掴まれてしまう。





下品な笑いを浮かべる男の手が、自分の身体を無遠慮にはいずり回る感覚に恐怖を覚えた。








覚悟していたハズだった。



里で学んでいたので、行為に関する知識もあった。

実際の場面でも、その知識通りに行動する自信もあった。



それなのに…




実際は、知らない男に触られることが怖くて怖くて仕方なかった。







「や、やだ!!止めて!!」




流石に近衛隊長を任されるだけあって、男の力は強かった。

そんな男が相手では、護身術も使えそうもない。






情けないが、怖くて泣いてしまいそうだった。







やっぱりこんなことできない!!

情報なら違うところから手に入れればいい。

そう思って逃げようとしたが、腕を掴まれていて動けなかった。






「や、やだ!!放してっ!!」

「今更、蒲魚(かまとと)ぶるのかよ」





男が暴れるあたしを組み敷いて、強引にキスしようとしてくる。




やだやだやだやだ!


怖い!


誰か助けて…!!





…レン様!!!!








迫り来る男の顔に


もう駄目だとあたしは、ぎゅっと目をつぶった。



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