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この仕事の依頼を受けた時、あたしは正直鼻で笑っていた。





あたしと同い年の少年王?

同い年とはいうけれど、あたしは潜ってきた修羅場が違うのよ


どうせ先代王が急死して、祭り上げられただけのお飾りね


所詮は甘ったれて育ったおぼっちゃま

今度の仕事は簡単ね






そう、高を括っていたあたしは




王となったばかりの、その少年に初めて会った時、思わず息を飲んだ。







星屑を集めて、絹糸に叩いてなじませたような金髪に、

夜明けにも似た深い蒼色の瞳が、冷徹な光を放っていた。


まだ幼さの残る手足も、数年もしないうちに筋肉がつき、

きっと立派な男性のものへと変わるだろう。


その歳にして完璧な造作の甘いマスクをもつ彼は

幼くして、既に王として気品を纏っていた。



ただ噂通り、王というにはやはりまだ少し幼かった。




だが、齢十四にして、この広大で強大な黄色の国の王であるということもまた事実。





彼が持つのは、決してお飾りの容姿だけではなかった。





幼さにつけ込まんとする、隣国の大臣たちの小ずるい要求を、あっさりはね除けるだけの毅然さと

黄色の国ほどの大国を、十分動かすだけの才覚と

将来有望な若き王の妃の座を狙い、色香をまき散らす下品な女に見向きもしない潔癖さ

王の持つ権力のおこぼれに預かろうと群がる、下賤なものたちのおべっかを相手にしない冷徹さ



それら、全てを持ち合わせている彼は、幼いながら完璧な王だった。




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