take

□SCOOP SCOPE
1ページ/3ページ


それは突然だった。



「ふざけんな、クソガエル」
「は――!?」

何の変哲もない、非番の日。
特に予定もなかったフランは部屋の掃除に勤しんでいた。
天気が良いから布団でも干そうかな、と寝具周りを片付けていると気配も音も無く背後にベルフェゴールが現れた。
驚いて目を見開くがそれも一瞬。
こんなことは良くある事なのだ。
彼は気配を消して近づくのが好きらしい。しかしいつもと雰囲気が違う。
常ならば、フランを驚かそうと背後から抱きついたり、甘い雰囲気を振りかざしている。

しかし今のベルフェゴールからは怒りの感情しか感じられない。

――何か怒らせるような事をしてしまっただろうか?

思い当たる事があるようなないような――フランは首を傾げた。


「…なんですかー、そのオーラ」
「……」
「…ベルセンパイ?」


双眼が前髪で覆われているせいで感情が分かり難い。
しかしいつも三日月型を象るその唇は今は不機嫌にへの字に歪んでいる。
フランはベルフェゴールの頬に手を伸ばした。


「…ったー」
「…浮気者」
「…は?…ぅわ」


伸ばした手を強く掴まれる。
結構な力で掴まれているようだ。ぎりぎり、と骨が悲鳴を上げる。
呟かれた言葉が理解出来ず、反応が遅れた。
どん、と身体を押されベッドに倒れ込んでしまった。


「いったー…何すんだ堕王子ー」
「……」
「いっ…!」


掴まれた腕をシーツに縫い付けられる。
キツく拘束されて身動きが取れない。
下半身を捻るがうんともすんとも緩まない。
同じ男なのに何故こんなに力が違うのだろう。フランは若干イラつきながらベルフェゴールを睨みつけた。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ