ガンダムSeed Destiny
□全てを手に入れるという事_M
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「ねぇ、センパイ俺の事…」
「愛してる、ミゲル」
「…センパイ」
「愛してる」
「愛してる、愛してるから…−―――」
俺の声を塞いで、センパイは言葉を紡ぐ。
俺はその言葉に、口付ける。
いつからだろうか。
ずっと欲しかった言葉を囁かれても足りなく感じて、アナタの全てを欲しいと願った。
でもやっぱり願うだけじゃ足りなくて、アナタをこの部屋に閉じ込めた。
「やっ、…ミゲルっ」
オレンジ色の髪が揺れる。白い肌に後をつけるように吸い付くミゲル。
ベットに繋がれた右腕のベルトはきつく、ハイネを縛りつけている。
ハイネが動く度にジャラジャラと鎖の揺れる音がする。最初は耳障りなそれも、三年もの時が経てば何故か心地いい。
欲しいと淫らに喘ぐ姿を美しいと思う。
「…センパイっ」
「ミゲル、ミゲル…っ」
狂ったように俺の名前を呼ぶセンパイ。
…いや、違う。
狂ったように。じゃなくて、狂ってるんだ。
俺が、狂わせた。
願うだけじゃ物足りなくなって、
言葉を手に入れても足りなくて、
躰を手に入れてもまだまだ足りなくて、
「ミゲル…」
事情を終えて、意識を手放す瞬間に呼ばれる名前。
微かに掠れて、震える声。
そんな彼を強く、力の限り抱きしめた。