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□うたかたのきぼう
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スカイライン様は死んだ。本当に死んでしまっていたら、きっと、諦めもついたろうに。





「今日も、スカイライン様は眠れたままだ」

日産騎士団の屋敷内、奥まった場所にある薄暗い室内で静かに眠る一人のジャイロゼッターの姿。
カメラアイに光はなく、駆動音もなく、生気を感じられない青い駆体に寄り添うようにして座り込む白い影。
日産の女騎士、シルビアだ。

「いつ、お目覚めになるのですか、スカイライン様」

眠っているスカイラインの頬に手を添え、聴覚センサーにそっと囁きかけるようにシルビアは問い掛ける。
切なげな声で訴えかけるが、スカイラインの意識は沈んだままだ。
数年前の戦いの際、重傷を負いAIが停止して以来、スカイラインは一度も目を覚ましていない。
死んではいない、されど、生きてもいない状態のスカイラインを守るように、シルビアは傍らに寄り添っていた。
スカイラインはあくまでAIが停止しているだけ、人間で言う仮死状態のようなものだ。
その事がシルビアにとっては希望であり、また、苦痛でもあるのだ。
死んではいない、だがかなり長期間意識が回復する事はないと言われたスカイライン、いつ回復するか解らないスカイラインの目覚めを待つのは苦だ。
強い心を持つシルビアとて、泣きたくもなる。
もし、スカイラインが死んでいたならば、諦めがついたのかもしれない。
かばかりの希望が、かえって苦しみを与えるとは皮肉なもので、シルビアのスカイラインの回復を望む気持ちもまたシルビアの首を絞めていた。

「もう、目覚めないのなら、私も貴方のお側で眠りたい」

貴方の微かな鼓動を子守唄の代わりにして、私も永く、貴方の傍らで眠りたい。
眠り続けるスカイラインの他、誰もいない室内でシルビアが漏らした言葉には、力が籠っていなかった。
運命のいたずらか、シルビアの中にあった想いがそうさせたのか……間もなくシルビア自身も深い眠りにつくことになる。





拙宅のジャイロゼッターのキャラ設定を見てからの方が内容解るかなと。
TwitterでスカイラインのAI停止ネタを見て惚れたので、拙宅のスカイライン&シルビアもそうなりました。
ジャイロゼッター界の旧車の扱いに悩む、あんなにしょたっぽいスープラも旧車だぜ

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