頂・捧

□旅に出ます、探さないで下さい。
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『天気良いなー・・・やっぱり人間、適度に休まなきゃなぁー』

ググッと体を伸ばして、大きく欠伸をした。
昼過ぎの陽射しは強すぎもせず、弱すぎもせず心地好い。絶好の昼寝日和だ。

『ここならバレそうに無いし・・・』

綱吉が、誰にも見付からない所を探していてこの部屋を見付けたのは偶然だった。
1ヶ月くらい前にに、屋敷内の散歩を許可され、その時に辿り着いた部屋がここだった。
この部屋は何故かは分からないが、普段誰も近付こうとしないのだ。
まるで人為的に人払いされているかのように。
無人のフロアを綱吉は怪しくも思ったが、やっと見付けた絶好のサボり場所を逃すつもりも無く、今もこうして休憩場にしているのだ。

『もう一度寝よっかな・・・』

欠伸をもう1つして、綱吉が大きめのソファーに体重をかけた時だった。
ガチャリ・・・ギギーッ・・・・・年期の篭った扉が重い音をたてて開いた。
そこには腕組みをした最強(恐)の守護者であり、恋人である雲雀が立っていた。
綱吉も反射的に立ち上がる。眠気なんて一発で吹き飛んだ。

「見付けたよ、綱吉。」
「きょっ、恭弥さん・・・・・おかえり、なさ、い;」

久しぶりに会う恋人に綱吉は苦笑いを浮かべた。
会えて確かに嬉しいのだが、雲雀の顔に、綱吉だけに見せるいつもの優しげな笑みは何処にも無い。
それどころか、ただっ広い草原の中で、獲物を見付けた肉食動物のようだ。
完全に怒っている。首筋を伝う冷や汗が止まらない。

「早かったんですね、お帰りは来週になるって聞いてたんですが・・・;」
「長引かせるのは好きじゃないんだ。それに綱吉に早く会いたかったからね。」

腕組みを解いて、一歩一歩と近付いてくる恋人に、今の綱吉は恐怖しか感じなかった。
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