頂・捧
□家庭教師スウィートハートHIBARI!
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リボーンにさじを投げられて、綱吉は絶望のふちに立たされていた。
言葉で表すのなら、絶体絶命と言う言葉がぴったりの状態だ。
取り合えず、何もしないわけにはいかないため、痛むお腹をさすりながら机に着いた。
教科書を広げて、その日学校で出された宿題に取り組もうとするがいまいちペンが動かない。
『ぇ、あれ?これどうやって解けば良いんだろ・・・』
綱吉が詰まっていたのは数学だった。
出てきた答えはありえない数字になっている気がして仕方が無い。
「ねぇ、どうして2√3+√2+√3が4√2になるの?」
「ぇ?3+2+3は8になって、√8は2√2だから・・・」
『あれ・・・オレ、誰に向かって話してるんだ?;;』
説明しながら綱吉は疑問を抱いていた。
『さっきまでオレ1人だったのに・・・それにこの声・・・・・』
綱吉が恐々振り返ると、雲雀がすぐ近くで肘を付き、じっと綱吉を見据えていた。気のせいか目が据わっている。
「ヒバリ・・・さん・・・・・;;」
本来なら、恋人である雲雀に会えて嬉しいはずなのだが、綱吉の顔は引き攣っていた。
「アハ、ハ・・・;」と、苦笑いが零れている。
「√の中身は文字として考えるって習わなかった?」
「あ・・・そういえば・・・・・」
「じゃあ答えは?」
「・・・・・3√5、ですか?;;」
控え目に、雲雀の表情を窺うように綱吉は小さく答える。
「・・・ねぇ、君こんなので並高に来れるの?3√3+√2だよ。」
グサリと痛い所を突かれて綱吉は青ざめた。
カラーンと音をたててシャーペンが手から滑り落ちる。
『咬み殺される!!;;』
雲雀の手が頭上へと伸びた頃には、綱吉はその琥珀色の瞳を固く閉ざしていた。
肩がビクビクと震えている。
加えて、涙も僅かに滲んで溜まっている。