パラ

□Il dio di morte
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ん?骸・・・さん?どっかで聞いたことがあるような・・・と記憶を辿っていると、1人の人物が浮かび上がった。
六道骸・・・オレが通ってる高校の先輩だ。この前も、教材を運んでいるオレを手伝ってくれた。
オレの事を手伝ってくれた人なんて、骸さんを除いて今まで1人も居なかった。だから、あの時本当に嬉しかった事を今でも覚えている。

「それにしても、やっぱり可愛いですね・・・学校でも君だけは特別に見えましたからね。」

色々と考え事をしていたオレの頬に、骸さんの手がそっと触れた。オレの体はもう冷たくなっているらしくて、骸さんの手から伝わる体温が温かくて心地良かった。
ダメツナ・・・それが生きている時のオレのあだ名だった。誰もオレと関わろうとしない。
オレもオレでそんな奴らの間に入って行こうとはしなかった。誰もオレを必要とはしてくれないことは分かっていたから。

「君が欲しい・・・僕の物になってくれませんか?」

でも・・・でも、目の前にいる骸さんはオレを必要としてくれてる。

『良いよ・・・骸さん、オレを連れて行って。』

言葉を紡ぎ終わると同時にそっと抱かれる体。オレが生きている間、こんな風に家族以外から温もりを貰ったことなんて一度も無かった。
骸さんの腕の中から下を見ると、自分が転がっている。自分を見下ろすなんて奇妙な感じがしたけど、これが死ぬって事なんだと納得してしまった。
今、死ぬのは恐くないのか?と聞かれて恐くないと答えれば、それは嘘になってしまう。死ぬのは恐い、でも・・・・・
骸さんがオレを必要としてくれている、それがオレの不安を取り去っていた・・・


†END†
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