パラ

□アルビレオ 番外編
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「委員長、お疲れさんッ!!」

服装点検が終わってすぐに、黒い塊が僕に向かって飛んできた。受け止めて、初めてそれが自分の学ランだと気付く。
軽々と止めた事に、投げて来た委員は軽く舌打ちをしていた。

「あの鬼の風紀委員長サマがツナには随分と優しいもんだ」
「何か問題ある?」
「いや、そうでなくちゃとっくに別れさせてる」

彼は沢田ナツ。ツナの双子の兄だ。外見こそはツナとそっくりだが、性格は大分違っている。
彼はしっかり者ではあるが、少しシスコンの気があると思われる。

「心配しなくてもあの子を泣かすなんて事しないよ、僕はあの子の笑顔が好きなんだから」
「……そうか、ならいい」
それ以上、彼は何も言わなかった。心底安心したような顔をしていただけだった。
こういう所が、ツナとそっくりだと思った。



翌日の放課後、綺麗に折り畳んで、ツナがネクタイを返してきた。でも僕はそれを受け取らなかった。
ツナに持っていてもらいたかったからだ。

「ほら、こうやって鞄に…」
「ぁ、いいかも…」

ネクタイをツナの鞄のひもに蝶々結びで留めてみた。濃い色の鞄には赤がよく映えていた。
それにツナも気に入ってくれたみたいだ。

「大事にしますね!」

そう言ってにっこりと笑った。やっぱりツナの笑顔は可愛い。この笑顔を守っていきたい…
そう思ったら衝動的にツナを抱き締めていた。



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