小説

□風邪ひき
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あれからどれくらい寝ていたんだろ・・・目を覚まして一番にぼんやりとした視界に入った物。
それは壁にかかった時計だった。
時計の針は大方4時・・・・・・昼ご飯も食べずにずっと眠っていたみたいだ。
まぁ、出されたとしても食べられたかどうかは怪しいけど。
まだまだ体が熱いから熱は下がりきってないんだろうな・・・
オレはそんなことをぼんやりと考えて寝返りを打った。
ぱさり、と目の前に何かが落ちてきて初めてタオルの存在に気付いた。
拾わなきゃ・・・と思って手を布団から出そうとすると、目の前のタオルがふわりと持ち上がって、額に押し当てられた。

「ぇ?ひ・・・ば・・り・・・さん?」
「何だ、起きたの?」

雲雀さんはオレの額にタオルを当てたまま俺を覗き込んでいた。

「もしかして・・・また窓から入ってきたんですか?」

オレは、今は閉められている部屋にある唯一の窓を見た。
少し前から、あの窓は雲雀さん専用の出入り口になっている。

「そうだけど、だから何?」
「いえ、何でも無いです;;」
「そう。」

会話が続かない・・・その事を寂しく思うのは熱があるせいなんだろうか。

「ねぇ、綱吉。」

俺の気持ちをまるで悟ったかのように唐突に雲雀さんがオレの名前を呼んだ。

「風邪、早く治しなよね。」

その眼差しが今までに見た事が無いくらい優しくて・・・
オレは思わず寝返りを打って仰向けになった。

ドキドキし過ぎて雲雀さんを直視できそうにない。
タオルを押さえとく必要が無くなった雲雀さんの手は布団の中からオレの手を引っ張り出した。
そこに軽くキスをされる。
何かもう恥ずかしくてしょうがない。

「あの、雲雀さん・・・あんまり・・・長いこと居たら・・・風邪・・・・・うつります・・よ?」

オレは息も絶え絶えに言った。
別に帰って欲しいわけじゃない。
ただ恥ずかしかった。

「別に構わないよ。風邪はうつしたら治るって言うしね。・・・何なら試してみる?」

雲雀さんの本気にしか聞こえない答えに俺は小さく、でも必死に首を振った。

「駄目ですよ・・・雲雀さん前・・・・風邪こじらせて・・入院・・・してたじゃないですか・・・・」
「そういえばそんな事もあったね。でもそうなったら、綱吉がお見舞いに来てくれるよね?」

雲雀さんは楽しそうに言った。

「さぁ、もう寝なよ。明日も学校に来なかったら噛み殺すから。」

オレは雲雀さんの言葉に苦笑しながらゆっくりと瞼を閉じた。

「雲雀さん・・・今日はありがとうございました・・・おやすみなさい・・・・・」
「うん、おやすみ。」

明日には熱が下がってると良いな・・・


†END†
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