小説
□夢境
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「まさか、ここって骸が作った世界なのか?」
「その通りですよ、綱吉君。ここは僕の世界。だから何でも思うまま・・・」
ほんの数秒前までは確かに木の所に居たのに・・・
いつのまにかオレを後ろから抱き締められていた。
動こうにもがっちりと抱かれていて身動き一つ取れない。
「ちょッ!骸!?///」
そうこうしてる内にクルリと前を向かされたと思ったら、骸はオレの鎖骨の辺りに顔をうずめた。
「ぁッ・・・///」
カリッと小さな音と一緒にきた、軽い痛みとゾクッとした感覚に思わず声を漏らしてしまった。
「可愛いですね・・・もっと君とここで一緒に居たいですが、どうやら君はもう現実に戻る時間のようです。」
骸が一瞬・・・ほんの一瞬だけど寂しそうに見えたのはオレの気のせいなんだろうか。
「ねぇ骸・・・今度はいつ会えるの?」
気付いた時には言葉が口をついて出ていた。
オレの突然の言葉に流石の骸も驚いていた。
それでもすぐに余裕のある笑みに戻った。
「その印が消えてしまう前までに必ず。Arrivederci」
骸がオレの額に軽くキスしたかと思うと、視界はまた真っ暗になった。その時に小さくだけど、
「それを見る度に僕を思い出してくださいね・・・」と聞こえたような気がした。
目が覚めると、いつもとなんら変わりの無い朝だった。
ただ一つ違ったことと言えば・・・夢の世界で骸に付けられた所有印(キスマーク)をどうやって隠すかを必死になって考えた事ぐらいだろうか。
最終的に、カッターのボタンを全て閉める事で丸く納まったわけだけど。
*END*