小説

□風紀委員会の内乱シリーズ
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【風紀委員会の内乱 #01】

朝起きると・・・何故か黒皮のソファで寝ていた。しかも並中の・・・応接室にあるあのソファだ。
おかしい・・・確かにオレは家で寝ていたはず・・・とりあえず体を起こしてみてオレはギョッとした。
いつも着ているパジャマじゃなくて学ランを着ているのだ。しかも、手の自由がきかない。
手首を大きく真っ赤なリボンが一つにまとめていた。ご丁寧に綺麗な蝶々結びで、だ。

「おはよう、綱吉。」

蝶々結びを解こうとリボンの端をくわえた時だった。肩を軽く叩かれる。
そのせいで、せっかくくわえたリボンを落としてしまった。恐る恐る振り返ると、ヒバリさんが笑っている。
でもそんな良い意味ではない。どちらかと言えばこう・・・獲物を前にした肉食動物と言うか・・・

「お、おはようございます、ヒバリさん・・・」
「君さぁ・・・何リボン取ろうとしてるの。プレゼントを開けるのは僕なんだから。」

当然のように言われてオレは固まった。ぁー、オレプレゼントだったんだ・・・・・何故?

「まさか今日が何の日か分からないとか言わないよね?」

オレの髪をいじりながらヒバリさんは言ってきた。
ぇ、今日って五月五日、子供のh・・・忘れてた、今日は目の前に居る風紀委員長サマの誕生日じゃないか・・・!

「ヒバリサンノタンジョウビデスネ。オメデトーゴザイマス!!」

あまりの動揺で変な喋り方になった気がしないでもないけど構わない!!気にしない!気にしたら負けだ!!

「妙に片言だね・・・まぁ良いや。そういう訳で君は僕のプレゼントだから。」

強く引き寄せられたかと思うと、抱き締められていた。そのソファに座って膝抱っこされると恥ずかし過ぎてうつむくしかできなくなった。
オレの様子を見て、ヒバリさんはクスクス笑う。ふと、ヒバリさんの右手が赤いリボンに触れた。

「ねぇ、開けるよ?」

つむじにキスを落として訊ねられる。“開ける”とは勿論“プレゼント(オレ)”にかけられているリボンのことだ。

「好きにして下さい・・・オレはヒバリさんのプレゼント、なんでしょう?」

しゅるりと光沢のあるリボンが解かれた。それがはらりと床に落ちる。やっと腕が自由になった!と思っていると、背後から抱き締められた。
今日のヒバリさんはなんだか甘えただ。

「ねぇ、綱吉・・・」

ヒバリさんの声が耳を掠めて行く。いつもより少しだけ低く、いつも以上に落ち着いている声色がちょっと新鮮だった。

「何ですか?ヒバリさん。」
「僕のお願い聞いてくれるよね?」
「オレの出来る範囲なら・・・」

この時、こう答えたオレを殴ってやりたい。それくらい後悔した。
まさか、まさかあんなことになるなんて・・・・・


「綱吉、こっち向いて。」

そう言われたから立ち上がって振り向くと、ヒバリさんに左腕を引かれた。

「綱吉は今日から僕の補佐をしてもらうから。」

オレが了承することを前提としての話なのか、風紀委員の証とも言える腕を付けようとする。

「ちょっとヒバリさん、待って下さい!!」

確かに聞くとは言ったが、こんなの予想していなかった。
オレの出来る範囲を超えている。例え補佐だとしても無理だ!!
どうでもいいけど、ヒバリさんが凄くいやそうな顔をしているけど見ないフリ、見ないフリ・・・

「風紀委員なんてオレには無理です!!オレはダメツナですから!!!だからそれ以外で・・・・・」
「何だ、そんなこと。大丈夫だよ。僕専用だから。君は僕を癒してくれればそれで良いんだ。」

腕章はもう止められた。赤地に黄色で刺繍された風紀の字が、黒地の学ランには目立つ。
もう従うしか無いといやでも悟った。ヒバリさんの誕生日を忘れた罰かなとも思った。
窓の外では、ヒバードが元気に校歌を歌っていた。


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