□lost person
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そして、現在に至るのだ。昼食を食べ終えてホテルに戻ろうとしたが、何処かで曲がり違えたらしい。こんな裏路地に出てしまったのだ。

『とりあえず表通りに出ないとな・・・』

アレンが表通りに出ようと歩き始めると何者かに右の手首を掴まれた。

「お嬢さん、こんな所で何をしてるんですか?」

驚いて振り向くとそこには、見るからに怪しい男が立っていた。

「あの・・・僕、男なんですけど・・・」
「なんだ、そうなのかい?悪いねぇ、綺麗な顔してるからてっきり女の子かと思っちゃったよ。」

アレンがムスッとしながら言うと男はアレンの体全体を舐め回すかのように見つめた。

「ところで、表通りにはどう行けばいいんでしょうか?」

この目の前に居る男とは極力話をしたくはなかったが、話を聞ける人が他に居ないことをを考えると、聞くしかなかった。道を聞いてすぐに別れればいいと思っていたのでアレンは思い切って訊ねてみた。

「あぁ、それだったら連れて行ってあげるよ。」

予想もしていなかった言葉にアレンは唖然とした。それと同時にそうきたか・・・とも思った。

「いえ、道を教えてくれるだけでいいんです。」
「いいから、いいから。」

だが、男はそれを聞こうともせず、いつの間にか腕を掴まれそのまま引っ張られていた。
しかも、どんどん奥に進んでいる気がする。

「いい加減に離して下さい!!もういいですから!!」

アレンは必死で叫ぶが男の行動は止まらなかった。
男はアレンの言葉を何一つ聞いてはいなかった。それどころか、

「おい、今日のは結構上玉だぞ。まぁ、男だがな。」

などと言い出したのだ。もうアレンには何の事だか分からない。しばらくすると、何処に居たのか数人の男がぞろぞろと出てきた。(湧いてきたとも言う。)

「へぇ〜、男には見えねぇな。」
「こりゃいいや。最近御無沙汰だったもんな。」

下品な笑い声が聞こえてくる。アレンはその場から逃げ出そうとしたが、近くに居た男に簡単に取り押さえられてしまった。

「さ〜て、人が来ないうちに犯っちゃいますか。」

ゲへへへへへという嫌な笑い声がどんどん大きくなっていく。
それとほぼ同時に何人もの男の手がアレンの黒いコートを引き剥がそうとのびてくる。

「神田!助けて!!」

もう神頼みに近い状態だった。アレンはこの場所から少しでも早く逃げ出したかった。

「お前なんだよ!それはオレ等の獲物だ!!」

男の1人が神田にほえかかる。

「うるせぇよ、六幻の錆びになるか?」

神田が六幻を抜刀すると男達は縮みあがった。
これが普通の人間の反応だろう。男たち散り散りになって逃げていく中、1人だけその場から動かない者がいた。最初にアレンに声をかけてきたあの男だ。
男はゆらりと立ち上がるとアレン達の方へ向き直った。それと同時にアレンの左目が変化する。男の肩辺りから見えている魂はとてもグロテスクだ。

「なっ、AKUMA!?」

いつもならAKUMAが現れたらすぐに分かる筈なのに今回は全く気付かなかったのだ。
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