頂・捧

□旅に出ます、探さないで下さい。
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ボンゴレの執務室、減らない書類、たまるストレス、恋人と会えない寂しさ・・・綱吉は限界だった。

『これ以上もう耐えれない・・・!!』

元々綱吉はデスクワークが大の苦手だった。
毎日毎日回ってくる莫大な量の書類に嫌気がさしていたのも事実だ。
そして、ついに彼は行動に出た。


【旅に出ます、探さないで下さい。】


「綱吉、入る・・・よ?」

自分の上司であり、恋人である者の部屋を訪ねてみて、雲雀は呆気に取られた。
部屋の主、ドン・ボンゴレX世の姿が何処にも見えないのだ。
おかしい、今の時間帯は絶対にこの部屋に居るはずなのに・・・
ふと、雲雀が机の上を見ると、1枚のメモ用紙が分かりやすく置かれていた。
上質な紙で出来た書類の山の中に紛れていたためか、かなり浮いている。

『これは・・・・・』

手にとって見てみると、紛れもなく綱吉の字だった。

【もう疲れました、ちょっと旅に出ます。探さないで下さい。】

まるで結婚生活に疲れた妻が実家に帰る時に残す手紙のような文面だった。
グシャリ・・・雲雀の手の中でメモが悲鳴をあげる。静かな執務室の中に、その音だけが響いた。

『まさかこんなお預け喰らうとはね・・・たっぷりお仕置きが必要みたいだ。』

ちなみに、雲雀は長期任務から帰ってきたばかりだったりする。
1ヶ月以上も綱吉と会えて居ないため、久々の逢瀬を楽しみにしていたのにこの仕打だ。
怒りもするだろう。くるりと踵を返し、雲雀は執務室から出て行った。

『かくれんぼの始まりだ・・・・・・・』

雲雀の表情は、実に楽し気に歪められていた。
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