パラ

□アルビレオ U
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ツナが雲雀と付き合い始めて早三ヶ月…その間に俺達の周りには色々な人が集まった。
ボヴィーノファミリーのヒットマンと自称し、リボーン暗殺を企てるも失敗ばかりのわがまま子牛のランボや、中国からやって来た餃子拳の使い手のイーピン、リボーンの愛人で獄寺の姉である毒サソリビアンキ、ランキング能力を持
つフゥ太、それから俺達の兄弟子にあたるディーノさんと言った様々な人達と知り合った。
ちなみに、ランボ、イーピン、ビアンキ、フゥ太は俺達の家に居候している。
母さんとツナと俺の3人家族だった沢田家は今や大家族と化していた。
他にも俺達にやたら好意を抱いている三浦ハルや…トライデントモスキートの使い手の変態ヤブ医者シャマルに、京子の兄笹川了平…本当にたくさんの人達と出会った。
しかし、その日常が突如崩れる事になる。


『アルビレオ』


『今日は…この辺にしとくか…』不良の最後の1人を地に沈めて俺は額を拭った。
夜、寝つけない日は大抵夜の街に足を運んでいる。
今日も全く睡魔が訪れず、俺はこの繁華街に来たのだ。
何もせずに起きていると、どうしても昔の事を思い出してしまうから・・・だから俺は夜の街に繰り出して、絡んできた奴らを倒すという我ながら愚かな事をしていた。
結局何の解決にもならないと分かっていながら止められなかった。
倒した不良達をチラリと見ると、揃いも揃って暗い緑色をした学ランを着ている。
どうやら彼等は黒曜中の生徒のようだ。
あそこの学校は確か不良の巣窟で、悪い噂が絶えないと聞く。
しかし、そんな学校でも昔はちゃんとした有名進学校だったらしい。
何が起こるか分からないとはまさにこの事だろうか。
そういえばさっきの人も同じ制服を着ていたっけ・・・ぼんやり思い出していると、何処に隠れていたのか1人の黒曜男子生徒が姿を表した。

「どうもありがとうございます、自分ではどうにも出来なくて困っていたんですがおかげで助かりました」

その男子は奇妙な・・・というか、パッと見パイナップルを思わせる髪型をしていた。
そして右目を隠すかのように右側の前髪だけが伸びている。
そして、ひょろっとしたイメージを与える長身・・・おとなしそうな男子だった。
さっきの奴らにパシリにでもされていたんだろうか・・・にしても、やっぱり男と話すのは苦手だ。

「別に礼はいらない、それよりもう帰った方が良いんじゃないのか?」
「そうですね、それでは失礼します」

そいつはにっこりと人の良さそうな笑みを浮かべて、繁華街の賑やかな雑踏の中に消えていった。
それが…並盛中生襲撃事件が起こる1ヶ月前の出来事だった。
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