パラ

□春の訪れ
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※どパラレル注意報。ツッ君かなり乙女。ぶっちゃけおにゃのこ。珍しくムック一筋設定。


『春の訪れ』


少女が1人、花の咲いていない桜並木の中を駆け抜ける。
生まれつき猫っ毛で落ち着きの無い髪を揺らしながら、少女はある人物を目指して走っていた。
少女の名は沢田綱吉、随分と雄雄しい立派な名前だが本人は華奢な身体付きと、愛らしい顔立ちを併せ持った少女だ。綱吉の探し人は案外簡単に見付かった。

『六道先輩・・・居た!ぁ、でも・・・・・』

到底近付く事は出来そうに無かった。彼女が探し続けていた人物の周りには、多くの女の先輩や同級生、後輩でいっぱいだった。
容姿はそこらのモデルでは、はっきり言って及ばないくらい整っており、文武両道、そして生徒会長をつとめていたのもあり人望も厚かった。
言ってしまえば彼は学校の人気者・・・恋人の座を狙っている者も多かった。
まさに自分にとっては雲の上の人・・・・・・彼が卒業してしまうからと言って、何か行動を起こそうなどと微塵も思っていなかった。
しかし、好きだと言う気持ちは確かで・・・そんな綱吉の背中を押したのは親友の凪だった。凪は骸の妹でもあり、綱吉の味方だ。
同じクラスである彼女達は、1年の1学期に意気投合して今ではとても仲の良い間柄である。
凪は綱吉が兄に恋している事は勿論知っていたし、応援していた。
今回だって、今日で卒業なんだから・・・と後押しをしたのだ。
凪曰く、全く見ず知らずの女よりも、綱吉にお義姉さんになってもらいたいらしい。
あまりの話の早さに、顔を郵便ポスト並に赤くした事は綱吉の記憶に新しい。
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