小説

□Catching a cold !
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『Catching a cold!』


5限目が終わった時点で綱吉は机にふせていた。
頬が赤く、目は僅かに潤んでいる。
綱吉は発熱していた。
最近風邪が流行っているので多分それがうつったのだろう。

『ダ・・・ダルイ・・・・・』

「10代目ーっ!!ってあれ・・・顔色悪くないですか?;;」
「本当だな・・・ツナ、お前熱出てるんじゃ・・・」
「へっ?コホコホッ・・・あ、あぁ・・・そうかも・・・・・」

綱吉は重い頭をゆっくり上げた。
顔を上げただけだと言うのに、視界がグニャリと歪んですぐに机へふせてしまう。

「早退・・・するべきかな;;」
「10代目、そんなフラフラで帰れるんですか!!?」
「保健室で休んどいて放課後迎えに行くか?」
「ううん、大丈夫だって。1人でゲホッゴホッ、帰れるよ。じゃあまたね、獄寺君、山本。」

綱吉はふら付く足で並中の校門を出た。


『う〜〜〜ッ・・・フラフラする;;』

転びそうになりながらも綱吉は歩いていた。
風邪からくる頭痛でこめかみの辺りがズキズキと疼く。
視界がほとんど定まらなくてますます顔を歪める。

ドスッ――前がよく見えていなかったせいか、人とぶつかってしまった。
しかも転ぶ寸前で抱きとめられたことに綱吉は一拍送れて気付く。
ゆっくりと顔を上げると、そこには見知った顔があった。

「ケホッコホッ!・・・骸・・・・・」
「随分と弱ってますね綱吉君。」
「骸は・・・な・・で、ここ・・・に・・・・・?」
「あぁ、そのことですか。今日黒曜中は5時間で授業が終わりだったんですよ。それで綱吉君とデートをと思ったんですが・・・その体では無理そうですね。」

綱吉が怒る事を覚悟して言ったが、いっこうに言葉も何も返って来なかった。
ふと腕の中の綱吉を見てみると、ぐったりとして瞼を降ろしていた。
頬はほんのりと赤く染まり、呼吸が乱れている。
骸がその頬に手を当てると、綱吉は無意識に擦り寄った。

『仕方がありませんね・・・・・』

ひょいと軽々持ち上げて骸は綱吉の家へ向かった。



「んっ・・・・・あれ・・・ここ、オレの・・・部屋?」

綱吉はゆっくりと目を明けて、重い体を起こした。
風邪のせいで節々が痛んで小さくうめく。

「おや、起きましたか、気分はどうですか?」

額に自分の体温より遥かに低い手がそっと当てられて、綱吉はしんどさに潤む目で骸を見上げた。

「まだまだ熱がありますね・・・横になった方が楽なんじゃないですか?」
「ゲホッ、カハッゴホッ・・・うん・・・そうみたい、悪いけど寝させてもらうよ・・・・・」

骸に手伝われて今まで身を起こしていたベッドに横になると少し楽になり、ホッとつまっていた息を吐き出した。

「もう少ししたら奈々さんがお粥を・・・・・寝てしまいましたね。」

まだまだ回復は程遠いらしく、骸が話し終わらない内に眠ってしまった。
骸は綱吉の額に乗せていた手で琥珀色の髪をくしゃりと撫でた。
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