小説

□ミルクキャンディ
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今日オレがあいつに会ったのは本当に偶然だった。
ただなんとなくで帰りがけに立ち寄った公園にあいつはいた。
鮮やかな赤と黄色に色付いた公園だった。


『ミルクキャンディー』


何で公園に行こうと思ったかなんて覚えてない。
いつも通り放課後になって、練習を頑張ってる山本に手を振って、そのまま獄寺君と下校した。
いつも通りじゃないと言えば、帰り道の途中で買い物に行くビアンキと出会ってしまって獄寺君が全力疾走で帰って行った事くらいだ。
あとは何も変わらない放課後。
でも、真っ直ぐ家に帰る気にもなれなかったから、目に付いた公園にふらりと立ち寄った。

「・・・骸?」

公園のベンチに座って、でも何処か遠くをぼんやりと見ている人物を目にして、ぽつりと呟いてしまった。
六道骸・・・今は復讐者の牢獄の奥深く・・・それも光も何も届かないような場所に閉じ込められているらしい。
霧の守護者戦の時はクロームの体を使ってオレ達の前へ現れた。
今回も多分そうなんだろう。

いつもは自信に満ち溢れている(・・・って言ったら失礼なんだろうか;)のに、今日の骸は様子が違って・・・・・・

不覚にもその横顔に見とれてしまっていた。
そのせいでオレは公園の入り口に馬鹿みたいにつっ立っていた。

「いつまでそこに立っているつもりですか?」

不意に骸がこっちを向いて、やっとオレは我に返った。
骸と目が合っただけだというのに、ドキンと心臓が跳ねた気がした。
骸は性格はアレなのだが、顔は無茶苦茶良い・・・・同姓のオレからもカッコイイと素直に思えるくらいだ。
公園内はほど良く落ち葉が散らばっていて、歩く度にカサカサと擦れた。

「座ったらどうですか?」
「へ?ぁ、ごめん。ありがと。」

座る事を勧められて、オレは大人しく骸の隣に腰掛けた。

「骸、お前こんな所でどうしたんだ?」
「ちょっとした散歩を・・・と思いましてね。」

何となくで聞いてみたが、すぐに会話は途切れてしまった。
気まずい沈黙にオレは俯いてしまった。
どうにかして会話しようとアレコレ考えていると、骸の方から声がかかる。
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