小説
□報酬は甘い口付けを・・・
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今日は8月29日、そして並中の始業式は9月3日。
リボーンのスパルタによって9割方片付いた夏の課題だったが、数学の課題で躓いていた。
まだ日にちがあるとは言え、頼みの家庭教師はイタリアへ帰国中だ。それにリボーンは
「オレが帰って来るまでに課題終わらせてなかったら・・・どうなるか分かってるんだろうな?」
と脅迫めいた台詞まで置いて行った。
綱吉の気持ちは沈んでいくばかりだった。
『報酬は甘い口付けを・・・』
2年生に出された数学の課題は約30ページ余りのワーク1冊だった。
内容は中1〜中2の1学期までに習った事の総復習のようなもの。
内容はと言うと、問題の大半は基本的なものだが、1部応用問題が紛れていた。
このうち基本問題はなんとか分かるようになっていた。
リボーンのスパルタ教育の賜物だ。
しかし、応用問題になるとまるで分からなくて頭を抱えていた。
『どうしよう・・・;土曜日にはリボーン帰ってくるのに;;』
全く手の付けられない問題達を前に、綱吉は項垂れていた。
問題が解けないまま、ただ時間だけが過ぎていた。
諦め半分で問題を眺めていると、だんだんと瞼が重くなり、ついに机に突っ伏した。
完全に寝る体勢だ。
ガラガラ―――
ピクリと音に反応して身を起こして綱吉は驚いた。
「ヒバリさん!!?」
「やぁ、赤ん坊が留守だって聞いてね。」
窓枠から難無く降りて言った。
「はい・・・明々後日までイタリアに帰ってて・・・」
「ふーん・・・で、それは?」
雲雀が指差したのは例のワークだった。
発展問題の部分は相変わらず綺麗なままだ。
「夏休みの課題で・・・リボーンが帰ってくるまでに終わらせなきゃいけないんですけど分からなくて・・・」
「それで寝てたわけ?」
「いや、寝るつもりは無かったんですけど眠くなっちゃって;;」
アハハと綱吉は頬を引き攣らせて苦笑した。
「・・・それ、教えてあげようか?」
「え!?いいんですか!!?」
「綱吉には特別だよ。ただし・・・条件がある。」
「ぇ?」
綱吉が雲雀を見上げると、ニヤリと・・・まるで獲物を見つけた時に浮かべるような笑みがそこにあった。