小説

□夢境
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いつの間に来たのか・・・オレは真っ暗な場所を何処ともなく歩いていた。
いくら歩いても歩いても、辺りは黒一色。
何も無いみたいだ。
それでも足を止めないで歩き続けると、白い光が極僅かにだが差し込んできた。
前に進む度にそれは少しずつ大きく、明るくなっていく。
特に目的なんて無かったけど、オレは歩き続けた。
その光に向かって、ただ・・・ただ。



『夢境』



『ここ・・・何処だろ;』

やっと暗闇が終わって辿りついた場所・・・そこには草木が生い茂っていた。
と言っても、十分に手入れがされているようで、庭園とも呼べる場所だ。
かすかにだけど、水音がしているから近くに川でもあるのか?と思ってみる。
・・・いや、元々考え事するのそんなに好きじゃないしやめとこう。
オレは何をするでもなく、その柔らかい草の上に横になった。
日差しは春のように暖かくって心地良い。
これはきっと夢の世界だ・・・と分かってはいても、寝れそうな自分に思わず笑ってしまう。

「珍しいお客さんですね。」

聞き覚えのある声に慌てて身を起こしてみると、オッドアイの青年・・・六道骸が近くの木に寄りかかってオレの方を見ていた。

「ぇ・・・骸、お前いつの間に・・・」

確かにさっきまでこの周囲にはオレ以外誰も居なかったはず・・・なのにどうして骸が?
オレは半ば混乱していた。

「クフフ、君がこの空間に来てからずっとですよ。迷い込んだ・・・と言う方が正しいのかもしれませんがね。」
「迷い・・・込んだ?」

その瞬間、オレの超直感が何かを感じ取った。
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