小説
□ツナの受難〜冬のある日編〜
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『何でオレこんな事になってんだろ;;』
綱吉はにらみ合う2人を目の前にソファの上で冷や汗をかいていた。
『ツナの受難 〜冬のある日編〜』
遡ること数十分前。
授業が全て終わり部活にも入っていない綱吉は帰ろうと廊下を歩いていた。
『寒くなってきたな・・・』
今は11月の半ば。マフラーや手袋といった防寒対策をしなければ肌寒い気候になってきていた。
「痛ッ!!」
寒さのせいか前をあまり見ていなくて綱吉は誰かにぶつかった。
弾き飛ばされたという方が正しい表現方法かもしれない。
「いたたた;;すみませ・・・・・!?」
綱吉は目の前に立っている人物を見て驚愕した。
「ひ・・・ヒバリさん!?」
「誰かと思えば、綱吉か・・・応接室寄って行くよね?」
「いや。オレは・・・ちょッ、ヒバリさん!?」
雲雀は綱吉の返事もろくに聞かず、その中学生の男子にしては細い腕を引っ張って歩いた。
歩く事数分、あっという間に応接室に着いてしまった。
「ココアでも作るから座ってなよ。」
雲雀に言われ、応接室にある黒皮でできて座り心地の良いソファーに大人しく腰を下ろした。
応接室に来るのはこれで何度目だろうか・・・ふと考えてみる。
初めてここに来たのは1年の時で、その時は雲雀に殺されかけた。
だが、今では綱吉だけは応接室の出入りを許されている・・・いや、義務付けられているのだ。
「はい、ココア。」
綱吉が考え込んでいると、目の前に熱々のココアが差し出された。
ココア特有の甘い匂いがふわりと香ってくる。
「あ、ありがとうございます。」
「委員会行って来るからこれ飲んで待ってるんだよ?いいね?」
雲雀は綱吉にそう言い残して応接室を出て行った。
あそこまで念を押されて逃げ出すわけにもいかない。
そういうわけで、そのホカホカと湯気をたてているココアを飲むことにした。
苦くはないし、かと言って甘過ぎることもなく、丁度良い甘さに綱吉の緊張はほぐれていった。
『やば・・・眠くなってきた・・・・・』
前にもこんなことあったような・・・と頭の隅で思いながらも、綱吉は睡魔に勝つことは出来なかった。