□星の呪縛
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【星の呪縛】

星が空いっぱいに輝く夜、葉は何かに誘われるようにして散歩に出た。阿弥陀丸は勿論一緒だが、最近何かと物騒なので、春雨とフツノミタマノツルギも持っての散歩だが。

「ふんばりが丘みたいにきれいな空だな。」
『そうでござるな。』

その日の散歩はいつも行く海方面には行かず、山方面へ行くことにした。葉の足が何となく山の方へ動いたからだ。
歩いていて木々の合間から見える見える星空は、環境破壊が進み『星が見えなくなった』と言われているのが嘘のような輝きを放っていた。上を向いて歩きながら、ゆっくりと流れていく時間を感じる。こういったのんびりとした時間が葉は大好きだった。
しばらく二人が他愛も無い話をしつつ森を進んでいると、急に視界が開けた。

「んぁ?何だここ…」

そこだけ、人為的に刈り取られたかのように木が一本も無かった。パッと見広場だ。

『葉殿、これは一体…』
「よく分かんねぇけどここら辺で引き返した方がよさそうだ…」

そう言って元来た道を引き返そうとその空間に背を向けると、巨大な巫力が突然辺りを支配した。慌てて振り返れば、予想通り烈火の如き赤い巨体が目に入る。その手の上には真っ赤な精霊の持ち主のハオが、葉の方を見て笑みを浮かべていた。

「やぁ、葉。散歩かい?」
「ッ!!?阿弥陀丸!……ぇ、阿弥陀、丸?」

反射的にオーバーソウルしようと阿弥陀丸を呼ぶが何の返事も返って来ない。それどころか気配さえ感じない。

「お前の持霊には少し黙ってもらった。って言っても、位牌にしばらくの間帰ってもらってるだけだから安心して良いよ。」

焦りを見せ始める葉にハオは笑みを崩さずに言う。そしてスピリット オブ ファイアのオーバーソウルを解いて地上に降りた。そのまま真っ直ぐ葉の元へ近付いていく。その足取りは少し早い。

「何しに来たんよ…」
「今日は戦いに来たんじゃないよ。葉と散歩をしようと思ってね。」
「オイラ…と?」

警戒して後退るより早く、ハオは逃げる葉の腕を捕まえた。その直後に、背中が何かにぶつかる。一本の大きな木だ。前方にハオ、後方に大木。葉の動きは完全に封じられていた。

「そう、葉と。僕の可愛い弟とね。」
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