□心の傷
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お前はもう忘れてしまったのか?

それとも、忘れたフリをしているのか?

『お前(ルーク・レプリカ)』という名の存在が犯した過ちを・・・

家を返せ、街を返せ、家族を返せ、命を返せ、返せ・・・かえせ・・・カエセ!!


【心の傷 〜癒されるべきモノ〜】


ルークはガバッとベットから身を起こした。最近、ルークは毎日のように同じような夢を見ていた。

『忘れたわけじゃないんだけどな・・・』

何故だか全身がカタカタ震えてきたのにルークは戸惑ったが。しかし、涙まで零れてきたのに、『怯えてるんだ・・・』と気付かされた。今は幸いにも同室のジェイドは眠っている。ルークは布団を深く被って、ガタガタ震えた。涙もどんどん零れ落ちた。
だが、そのまま眠ってしまったらしく、目が覚めた時は空はもう明るくなっていた。

「ルーク、おはようございます。」
「ぁ・・・おはよう、ジェイド。」
「どうかしたんですか?いつもより元気がない気がしますが?」
「へ?うんん、何でもないよ!俺はいつも通りだって。」

ルークは心配をかけまいと全力否定した。昨夜のことに気付かれていないことにはホッとした半面、少し寂しくも思った。

「そうですか?・・・では、1つ言いますが・・」

そう言ってジェイドはルークの額にそっと手を当てた。

「っ・・・冷た!!いきなり何するんだよ!!」
「熱があるんですよ。自分で気付かなかったんですか?」

そういえば体が熱いような・・・とルークは思ったが、その後すぐに立っていられないほどの立ちくらみに襲われた。
しかし、床に崩れ落ちる前にジェイドに受け止められる。

「今日は寝ておきなさい。皆さんには私の方から言っておきますから。」

ジェイドはルークをベットに寝かしつけながら言った。だが、当のルークはすっと目を閉じて苦しげに息をしていた。
ジェイドは手ごろな清潔な布を水でひやしてしぼり、ルークの額にのせた。

「・・・少しは私を頼りなさい・・・・・」

そう小さく呟くように言い部屋を出て行った。もちろん、ルークには聞こえていなかった。


ルークは熱にうなされながらも、またあの夢を見ていた。ルークは夢の中である街の中に立っていた。
自分が愚かだったせいで消えた街・・・アグゼリュス・・・救おうとして使った力は何千何万という命を一瞬で殺してしまう力でしかなかった。
・・・俺があの時しっかりしていれば・・・皆の意見をちゃんと聞いていれば・・・そういった後悔の念が渦巻いている時だった。
何処からか声が聞こえてきたのだ。

『おい、お前。それが自分で無意識のうちに消し去っていった記憶だって気付いているか?』

しかも、自分と全く同じ声なのだ。

「!?誰だ!!」

ルークは戸惑い辺りを見渡した。すると、髪を切る前の自分が少し離れた場所に立っていたのだ。

『俺はお前だ。お前は今の仲間達を信じれるか?』
「な!?・・・当たり前だろ!!あんなことした俺を皆信用してくれたんだ!!」

ルークはそんな事はないと言わんがばかりに叫んだ。

『じゃあ、起きて外を見てみろよ。』

ルークはガバリと起き上がり、不安を胸に外を見た。そこには、止まっている筈のアルビオールが何処にも無かった。
ルークの心は凍り付いてしまった。


「ルーク、薬と軽く食べれる物を持ってきましたよ。」

しかし、ルークの反応は全く無かった。まさかと思い、部屋の奥に進むと、ルークは虚ろな目をしてベットの中に座っていた。

「ルーク!!しっかりなさい!!ルーク!!!」

ジェイドは必死に呼びかけたが、ルークは全く反応を示さない。

『俺に気安く触れんじゃねーよ。』

声が聞こえてきたのはその時だった。声と言っても、頭の中に直接語りかけられるようだった。そして、目の前に長髪のルークが姿を見せたのだ。

「あなたは・・・成程。ルークが過去の記憶から作り出したもう1人のルークというとこですか。」
『一発で見破るとは、流石はジェイドだな。今日は、ジェイドに1つだけ頼みたい事があって出てきたんだ。“今の俺”は凄く不安定になっちまってる。だから、どうにかして助けて欲しいんだ・・・無責任なのは分かってる。でも、今どうにかしなきゃ最悪狂い死にするかもしれないんだ・・・“今の俺”を頼んだぜ・・・』

もう1人のルークはそう言い残し消えていった。ルークが目を覚ましたのはその数分後だった。

「ジェイド・・・俺さもう1人の自分・・・っていうのかな?そいつに言われちまった。“もっと仲間を信じろ、そして頼れ”って・・・ジェイド、俺頼ってもいいのかな?」
「えぇ、頼りなさい。」
「うん・・・」

ルークはその後熱が冷めるまで眠った。もちろん、ジェイドが付きっ切りで看病をして・・・・・


*END*
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