□居 場 所
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『俺は本当にここに居てもいいのだろうか・・・』

最近、俺はそんな事ばかり考えている。こんな考え、前はありえなかった。
アイツが・・・アッシュが俺のオリジナルで俺がアッシュのレプリカだと知るまでは・・・


『居 場 所』


夜、皆が寝静まった後、どうしても寝付けなかった俺はベットの上でシーツを頭から被り座り込んでいた。
今日の宿は部屋にゆとりがあったらしく、一人一部屋があてがわれた。
そのおかげで誰も起こす事無く、迷惑をかけてしまうということも無かった。
しばらくボーっとしていると頭にズキッとした痛みがした。
すぐに回線が繋がれたと分かった。
この痛みも最近慣れてきた気がする。


『レプリカ、宿の裏へ来い。』
『急にどうしたんだ?』
『いいからすぐに来い!!分かったな!』
『えっ、ちょ!アッシュ!?』

ブチッとそこで回線が一方的に切られた。それと同時に頭痛から開放される。
俺は上着を羽織ってアッシュに言われるがままに宿屋の外、裏へと向かった。


「アッシュ、こんな真夜中にどうしたんだ?」
「お前・・・また余計な事を考えて寝れてないだろ?」
「な・・・何を言い出すかと思ったら「いいから質問に答えろ!」


俺はアッシュに心配をかけさせまいと無理して笑おうとしたが、それがバレてしまったらしく怒鳴られた。

「寝ているのなら・・・何故隈ができるんだ。」
「そ・・・それは・・・・・」

俺は・・・ずっと悩んでいて寝れなかった・・・・・
それもアッシュの居場所の事を考えていたからだとはとてもじゃないが言えなかった。
そんな事行ったら、アッシュが怒るのは分かりきっていた。


「おい、まさかと思うが・・・まだお前が俺の居場所を取っただのを考えているんじゃないだろうな。」
「・・・・・。」


俺は考えを言い当てられてしまって何も言う事が出来ず、視線も下の方へずらしてしまった。
だが、その行動すらアッシュの気に障ったらしい。
あっという間に壁に押さえ付けられてしまた。
逃げようにも俺が逃げられないように逃げ道を塞がれてしまっている。

「・・・確かに、お前が俺の存在を喰っただのと言ったが、居場所を返せだのを言った覚えはない!!」
「でも・・・あの屋敷はお前が帰るべき場所だし、この名前だって・・・」
「前にも言った筈だ!!俺はもう屋敷には帰らない!!」

アッシュにまた怒鳴られ、俺は目を瞬間的につぶって肩をビクリと震わせた。
だが、予想と違いその後のアッシュの言葉は優しかった。

「いいか、『ルーク』それはもうお前の名前だ。」

そうアッシュに言われた直後、何故か立っていられなくなり、目の前がふっと真っ暗になった。


気付いたときにはもう外は明るく、俺はベットの上でいつの間にか寝ていた。


*END*
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