□lost person
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「あれ・・・ここ何処だっけ・・・・・」

そこはフランスのとある街の裏路地だった。人通りはほぼ皆無だ。アレンは任務で来ていたのだが、いつの間にか迷っていた。たよりのティムキャンピーは今回のパートナーの元にいる。

「きっと怒られるんだろうな〜。」

アレンは、はぁと溜め息を吐いた。全ての始まりは数時間前にさかのぼる。


『lost person』


アレンは任務の説明を受けるためにコムイの部屋を訪れていた。

「はい、これが今回の任務だよ。最近フランスで何人もの人が急に消えたと思ったら、次の日にその人がまとっていた衣服だけが出てくるらしいんだ。それ以外の遺留品は全く見つからないと言われている、・・・・・AKUMAに殺られたと考えられないかい?」

AKUMAの血の弾丸には毒のウイルスが含まれている。これに少しでも触れると体中に黒のペンタクルがが浮かび上がる。そして、体は粉々に砕けてしまうのだ。つまり、死体はおろか骨すら残らない。
今回の事件も十分AKUMAの仕業と考えられるのだ。

「分かりました、フランスですね?」
「うん、じゃあ、すぐに出発してもらうよ。今回のパートナーには先に船乗り場に行ってもらってるから。」

コムイに見送られ、アレンは部屋を後にした。


船乗り場には、良く知っている人物がいた。黒く長い髪を上のほうで結っている、初任務のパートナーだった人・・・神田ユウがそこに居た。

「遅かったな、モヤシ。まさか、迷ってたんじゃねぇだろーな。」
「違いますよ。さっきまで説明を聞いてたんです!そういえば、ファインダーの方は?」
「現地で落ち合う・・・・・はずだったらしいが音信不通になっている。最悪の場合、エクソシストだけでの任務になるな。」

そして二人は船に乗り込み、黒の教団をあとにした。


フランスに着いたのは昼過ぎだった。船で近くの駅まで行き、そこから汽車に乗ってここまで来たのだ。
ひとまず、拠点となるホテルに着くとアレンは神田に訊ねてみた。

「あのー、お腹空いたんで買い物に行って来てもいいでしょうか?」
「・・・てめーの場合買い物じゃなくて腹ごしらえに行くんだろうが。」
「まぁ、そうとも言いますね。」
「・・・・・迷うんじゃねぇぞ。」

神田は少し考えて短く答えた。

「なっ!分かってますよ!!いつまでも子供じゃないんです。そう簡単に迷いません!!」
「じゃあ、ティムは置いてけ。本当に迷わないかどうか試してやるよ。」
「・・・・・」
「迷ったら・・・・・今晩どうなるか分かってるな?」
「・・・・・分かりましたよ・・・迷わなければいいんでしょう?」

アレンは渋々了解した。
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