□満月の調べ
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「今夜は満月ね〜。あっ、そういえば今日は泊りがけでバイトだから。勘ちゃん、締め切り近いんだから早く書いちゃってね。春華ちゃん、勘ちゃん逃げないように見張っといてね!」

ヨーコはまるで2人の母親のようにしっかりと言うと、慌ただしくバイトへ向かった。

「ヨーコちゃんがんばるね〜。」
「お前ががんばらなさすぎなんだろう?」
「酷ッ!!」

春華にあっさりと言われ勘太郎は苦笑した。

「それじゃ、原稿するから部屋に戻るね。」

勘太郎は春華にそう告げスッと立ち上がると部屋へと戻っていった。



・・・数時間後・・・・・辺りはすっかり暗くなり、空には大きく美しい月が空へと昇っていた。
特にすることも無かった春華は屋根の上で月を眺めていた。月は青白く優しい光を放ち、見ているだけで落ち着いた。

「春華!月見酒でもしない?」

そんな静寂を破ったのは原稿を書いていたはずの勘太郎だった。

「原稿はどうしたんだ?」
「さっき終わったんだ。今日は筆が進んでね♪」

春華のといに勘太郎は酒を茶碗に酌みながら上機嫌で答えた。そうか、と言いながら春華は自分の茶碗に酒を注いでもらう。そして、月を見ながら酒を少しづつ飲む。

「勘太郎、お前酒弱いんだから飲み過ぎるなよ?」
「分かってるよ・・・ありがとう。」

いつもより素直になれる夜、愛する貴方と二人っきりの夜・・・この夜がいつまでも終わらなければいいと思う。


「春華・・・こんな所で言うのもなんだけど・・・僕、春華のこと大好きだよ?世界のどんな物より///」
「あぁ、俺もだ。」

満月の夜に愛しい人に愛を告げた。そして、あついあついキスを交わした。
この夜に終わってしまってほしくない。


できるなら、神様。この夜を少しでも長く感じさせて下さい。


できる限り・・・・・・


長く・・・・・・・



<終>
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