□moon
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〜moon〜


カイル達は、アクアベールで一泊することになった。一行は日が沈むまで領主館の地下にあるアクアラビリンスで戦っていた。敵はとても強く、ボスのマグナディウエスの居る間へ行くだけで夕暮れ近くになってしまった。そしてさらにマグナディウエスを倒している間にかなりの時間がたってしまったらしい。結局、領主館の外へ出た時には日がすっかりと沈んでしまっていた。

宿に着き、受付へ行くと困ったことになった。一人部屋が四部屋と二人部屋が一部屋しか空いていなかったのだ。結局、女性人をのけてくじ引きをすることになった。カイル、ジューダス、ロニの三人がせーのでくじを引くとロニの物だけに“あたり〜”と書かれていた。

「それじゃあ、カイルとジューダスには悪いけど同室になってもらうよ。」

ナナリーは二人に確認をとった。

「別に僕は構わない。」
「オレも別にいいよ。」

二人とも珍しくないことだったのですぐに了解した。そのことを確認すると、みんな疲れがたまっていたのかさっさと指定された部屋へと向かった。


「はぁ〜、あのモンスター、えーと・・・・・マグ・・ナ・・・ビ・・ウス?」
「マグナディウエス。」
「そうそう、そいつ!すっごく強かったよね!まさかあんな奴が領主館の地下に居たなんてな!」

強い相手と闘えてよっぽどご機嫌だったのか、カイルは楽しそうに話した。だが、ふと窓の外を見てカイルは話をやめた。空には淡く光を発する月が浮かんでいた。

「ジューダス、綺麗な満月だね。」

カイルは月を眺めながらゆったりと話した。そのカイルがあまりにも儚く、今にも消えてしまうのではないかとジューダスは思った。思いのあまり、彼は自分でも驚いてしまう行動にでていた。カイルをベットの上に押し倒していたのだ。

「あの〜、ジューダス・・・・これは一体?・・・・・・というか、何でオレ押し倒されてんの?」

カイルは自分の心臓がドクドクと音を立てて鳴っているのが分かった。

「いや、最近してなかったと思ってな。」

最初は戸惑っていたジューダスだったが今ではすっかり落ち着き、どちらかというとこの状況を楽しんでいた。そして、そっとカイルの口を塞ぐ。

「愛してるぞ。」

ポツリと耳元で呟かれたその言葉にカイルは顔を真っ赤にした。

「ッ・・・///ジューダス・・・・・オレも、ジューダスのこと大好きだよ。誰よりも・・・///」

照れながらカイルは答えた。

「今日はさ・・・・・久しぶりに二人きりで、満月なんだからお月見しようよ。」
「あぁ、そうするか。」

ジューダスは優しく微笑み、カイルをゆっくりと抱き起こし、ギュッと抱きしめた。まるで宝物のように。カイルもそれに答えるようにジューダスの肩に腕を回した。


それは秋の夜長のほんの少し・・・・・


<終>
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