パラ
□天使墜落
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「そ・・・んな・・・・・」
綱吉の心は安定を完全に失っていた。涙が瞳から零れ落ち、頬を伝う。
『さて、仕上げといきますか・・・』
骸が捕縛を解いても、綱吉は逃げようとしなかった。それどころか、床に文字通り崩れ落ちる。
そんな綱吉の胸元に骸は手を添えて怪しく笑う。
「これから君を堕としてあげますね。」
その言葉に、綱吉は無意識に体を強張らせる。骸を見上げたと同時に、今まで味わった事の無いような奇妙な感覚に襲われた。
ズズッ・・・骸の細長く・・・でもゴツゴツとした男の手が普通何者にも侵入されるはずのない場所を進んで行く。
「やぁっ!!くっ・・・や・・め・・・ろ・・・・・!!」
「何故です?君は仲間に捨てられたんですよ?」
綱吉は骸の腕をこれ以上進ませまいと掴むが、それもほとんど意味をなさない。
そしてついに、骸の手は目的のモノへ辿り着いた。
「クフフ、見つけましたよ。」
骸がそのモノを手の平で握り込んだ瞬間、綱吉の体はビクリと大きく跳ね上がった。
今込められる力を全て込めて、今度は骸が出て行くのを止めようとしたが、無情にも骸の腕は少しずつ下がっていく。
「それ・・・は・・ダメ・・・・!それ・・だ・・・・・けはぁ!!!!!」
首を嫌々と振り涙ぐんで必死に抵抗するが、簡単に腕が引き抜かれた。
「―――――ッ!!!?」
綱吉は声にならない声をあげていた。大きな琥珀色の瞳からは、大粒の涙がボロボロと零れ落ちる。
「君の光翼石、綺麗な色をしていますね。」
骸は指先で摘まんだ宝玉のように澄んでいるオレンジ色の珠に口付けて言った。
光翼石――それは天使の翼を形成する物質で、これが無ければ翼は生えない。天使達にとっては命と同じくらい大切なモノだった。
綱吉の目の前は真っ白になった。体を支える事など出来なくなって、重力に従って倒れる。
「クフフフフ・・・さぁ、早く僕の所まで堕ちて来て下さいよ・・・綱吉君・・・・・」
自分より1回りも2回りも小さい綱吉の体を持ち上げ、その無抵抗な唇に触れるだけのキスをした。
◆END◆
光翼石へのツッコミは無しの方向で;;