頂・捧
□家庭教師スウィートハートHIBARI!
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『これじゃあ僕がいじめてるみたいじゃないか・・・』
チュッ・・・唇に啄むようなキスをされ、綱吉は目を見開いた。
その拍子に、涙が一筋頬を流れる。
それを雲雀が舌先で舐め取ると、綱吉の顔は火が灯ったかのように耳まで赤くなった。
「何で泣くの・・・僕は君を泣かせたくないのに・・・」
雲雀が言うと、綱吉はふるふると首を横に振った。
「ヒバリさんのせいじゃないです・・・オレ、ヒバリさんとの約束守れそうにないなって最近思うようになって・・・ヒバリさん見ると申し訳なくて・・・」
また涙が滲み、隠すように綱吉は下を向いた。
小さな嗚咽が雲雀の耳にも届く。
「仕方ないね。いいよ、僕が勉強教えてあげるよ。」
頬に相変わらず伝う涙を拭い、雲雀は俯いてしまった綱吉の顔を上に向かせた。
悲しみや絶望に染まっていた表情は、驚きと喜びに変わっていた。
この日から、雲雀による家庭教師計画はスタートしたのだ。
そして、家庭教師計画もスタートして早1ヶ月。ここで冒頭に話が戻る。
その日は、小テストに向けて暗記をしていた。
雲雀はやるからには本格的にやる性格らしく、学校でやるような小テストも今までに数回行われていた。
『合同条件が3辺がそれぞれ等しいとき、2辺とその間の角がそれぞれ等しいとき、1辺とその両端の角が等しいとき・・・で、相似条件が・・・』
綱吉が何度目になるか分からない暗唱を心の中でしていると、窓が開いた。
冷えきった外気が窓から侵入し、背筋をかすめる。
「やぁ、小テスト始めてもいいかい?」
「はい、多分・・・大丈夫だと思います・・・」
「ふーん・・・不合格だったらお仕置きだよ。」
チャキッとトンファーを取り出すと、綱吉は身をぶるりと震わせた。
雲雀+トンファー=恐怖の方程式は、恋人になった今でも綱吉の中から消え去っていないらしい。
「それじゃあ始めるよ?」
「まっ、待ってください;;」
トンファーだけは回避したくて、綱吉は必死の思いで6つの条件を頭に叩き込んだ。