青の祓魔師

□別々の世界
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学校に着くと、
雪男は女と仲良く
喋っていた。

ふと、俺は気付いた。

塾では、勝呂や志摩がいる。
けど、学校は雪男としか。

そうか、俺、
雪男いなかったら一人なんだな…


笑える。


まあ、もともと学力のねえ
俺にとっちゃ、
座ってるだけで十分か。



「兄さん、ちゃんと来たんだ。
えらいじゃん。」

隣に座って雪男が言った。

「当たり前だっ。
俺を誰だと思ってんだ?」

笑ってみせたが、
最近笑った記憶なんて
そういえば無く、
笑えてるかも疑問だった。

「そうだね、兄さんは、
いつもギリギリに間に合うもんね」

微笑んだ雪男を目の前にして、
やはり胸が痛かった。

巻き込んだのは自分なのに。




「…っちょっと、トイレ!」

俺は急いで立ち上がり、
教室をでた。
廊下を曲がった先で、
うずくまった。

なにやってんだよっーー、
分かってたくせに…ッ。

小さくうずくまり、
痛む胸を抑えて堪えた。


予鈴が鳴って、はっと気付き、
急いで教室に戻ると、
雪男はどれだけ遅いんだ、と
冗談めいた言葉で笑った。


きっと慣れるんだ、
兄弟には変わりないんだ。

そう言い聞かせ、
学校を過ごした。





だが、塾へ行くと、
変わっていたことがあった。

教室の前で俺と雪男を
待っていたのは、
シエミだった。

「あ!燐!雪ちゃん!
おはよう!!」

いつものソワソワしい感じで
挨拶してくるシエミ。

「おうっ、おはよ。」
「おはようございます、シエミさん」

2人ともに挨拶をすると、
シエミは雪男の元に走った。


そして、少し小さい声で、
「雪ちゃんっ、今日も
遊びに行っていいッ?」
と、恥ずかしがりながら
雪男に話しかけた。

雪男も、
「…いいですよ、シエミさんが
お暇ならいつでも。」
と、嬉しそうに応えていた。



おい。
メフィストは一体なにを
"書き換えた"んだ?

もしかして…。
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