創作物

□夏が帰る
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リクオが惹かれた女性は飲み処“雪の里”とかかれている暖簾を潜って中に入っていった。リクオは少し戸惑い、遠くで言い合いしている二人を見たがこっちのが先決だと思い直し暖簾を潜っていった。

(この店の店員なのか…)

リクオがそう思ったのは、先程いらっしゃいませと声掛けしてきた女性(思わずストーカーしてしまうほどの可愛いらしさ)が、エプロンと襷掛けをしていたからだった。

店の中は、四人掛けの座敷が二つ、あとはカウンターの席が10席ほどのこじんまりとした形だった。雰囲気が良く、一人飲みの妖怪ばかりだった。

それもそのはず、店員はリクオが後を着けた綺麗で可愛らしい女性…名を氷麗と、美人で妖艶な雰囲気を醸し出している女性…雪麗の二人だけだった。どの妖怪もこの二人を目的に来ているようだった。

「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」

「ああ、初めてなんだが席は空いてるかい?」

(やばいな…笑顔も可愛い)

リクオが店に入るとカウンターから入口までやって来た女性がカウンターの席にリクオを案内した。その席の一つ空けた隣にはなんと見知った顔がいた。


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