創作物
□夏が帰る
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見ただけで、なぜか心が震えた。
初めは、見た目に興味を持っただけなのだととも思った。
それが、話してみて、もっと惹かれてしまって、
自分のものにしたいと思った。
夏が帰る
リクオが13歳の誕生日に正式に、三代目を就任することが8月のある日に決定した。
それに先立って、自身のシマとなる場所を知っていこうとリクオは青と黒をお供に、夜な夜な、出歩いていたのだった。
「さて、今夜はどの店に行こうかね」
「それでしたら拙僧の行き着けの店を」
「おい待て!若、俺の行きつけの飲み屋へ」
リクオがどの店に行くかは自由なのだが、この二人は毎度こぞってリクオを馴染みの店へと連れて行きたがる。この二人は、大体連れ添って飲みにいっているため結局は、同じ店になることが多いのだが、今日も飽き足らず喧嘩を始めてしまった。
(ん〜、面倒くせえなぁ・・・どっか適当に・・・?)
リクオが適当な店に入ろうかと、考えていたとき、視界の端に白い着物を纏ったそれは美しい黒髪で、これまた美しい女性が映った。思わず、その女性に見とれたリクオは喧嘩している二人をほって、その女性の後を着いていった。
そう、彼はぬらりひょんの孫、当然その女性が気づくことは無かった。