おはなし

□こんなに僕を切なくさせてるのに(兎虎)
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最近、虎徹さんの様子がおかしい

何かこそこそしてる
目が合うとわざとらしく逸らすし
誕生日のサプライズの時みたいに何か企んでいるのだろうか

と言ってもサプライズされるようなことはない…と思う

正直、隠し事されるのは嫌だ

まさか…浮気?
そんなはずはないと思いたい

もし
もし
浮気じゃなくて本気で他に好きな人ができたなんてことは…

いや!
考えたくない

ゆうべの虎徹さんはいつもと同じでかわいらしかった
いつもと同じようにかわいい声で喘いでいた

他に好きな人ができたら僕に抱かれるのだってイヤなはずだ

でも…
虎徹さんの本性が淫乱だったら…
いろんな男と…

あぁ
考えたくない

でも考えれば考えるほど悪いことしか浮かばない

問いただしたら答えてくれるだろうか

シラをきるかもしれない

こんな思いをするくらいなら虎徹さんを閉じ込めておきたいくらいだ


!!
インターホンが鳴った

時計を見ると23:55

こんな時間に来客なんて…

『はい…』
『あ、バニーちゃん 俺!』
『虎徹さん?今開けます』

エントランスのロックを解除した


こんな時間にいきなり来ることは時々ある
でも酔っ払って
…である

今はシラフみたいだったけど…

不思議に思っていると玄関のチャイムが鳴る


『はい どうぞ』

と招き入れる

『わりぃな こんな時間に』

と時計を見ながら言う

やはりシラフのようだけど

『どうしたんですか?』

『ん ちょっとな』

とまた時計を見る

『何か飲みますか?』

とキッチンへ行こうとすると

『バニーちゃん 待って!』

と呼び止められ肩を掴まれキスされた

えっ?
何?

唇を重ねるだけのキスから解放されると

『バニーちゃん これ』

と丁寧に包装された小さな箱を渡された

『なんですか?』
『いいから見てみな』

包装を取るとビロードの箱

開けてみるとペンダントが入っていた

ペンダントヘッドは小さなプレート

そこには

 K to B

と刻まれていた

『ほら』

と指す虎徹さんの胸元には同じものが
そこには

B to K

と彫られていた

『これは?』
『今日で付き合いはじめて1年だろ?』
『えっ?あっ…』

そんなことすっかり忘れていた
それで日付が変わるこの時間に…


『ホントはさ…指輪って思ったんだけど』

と虎徹さんの左手を見る

『こ
れは外せねぇし かといって重ねてつけんのも変だしさ』

と頭をポリポリと掻きながら言う

『それでこそこそしてたんですか』
『あ…バレてた?』
『何をしてるのかはわかりませんでしたけどね』
『バニーちゃんに似合うのは ゴールドかプラチナか迷って…やっぱゴールドが髪の色に合うんじゃないかって思って…』
『うれしいです』

と虎徹さんを抱きしめた

『ごめんなさい』
『は?』
『こそこそしてるものだから…浮気してるんじゃないかと疑ってしまいました』
『浮気?俺が?』

と言うと笑い出した

『すみませんでした こんなに僕のことを思ってくれているのに疑ったりして』
『いや 俺も内緒にしてたから 2人の記念なんだから2人で決めればよかったんだよな』
『サプライズすごくうれしいです』
『そっかぁ?』

照れながら笑うその顔もかわいいです


明日が朝から仕事じゃなければたくさん可愛がってあげるのに…


今夜は抱き合って寝るので我慢しましょう




淫乱かもって思っていたのは内緒のままで



20110728
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