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□渡さない
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「お疲れ様でした」
「あ、りっちゃんあがる?」
木佐さんがパソコン画面から顔を上げ、笑顔を見せる。
俺はこの笑顔にいつも助けられたり、被害に遭ったり大変なのだけど今は気にしない。
「えぇ、今日は長谷川さんに呼ばれてるんですよ。断るにも断れなくて…」
俺は苦笑いを浮かべる。
そして高野さんの方をチラッと見て、気づかれていない事を確かめる。
今は気づいてないらしい。
ホッと胸を撫で下ろす。
俺は木佐さんにもう一度挨拶をしたあと、編集部にも挨拶し会社を出た。
ホールには長谷川さんがいて、俺は頭を下げ自動ドアをくぐりぬけた。