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□『 LUNCH TIME PANIC 』 第1話  − TURNING POINT 番外編 −
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 冴木 奏多狭川 孝輔
 岡田 颯生木下 修斗

 ある日の 学校でのランチタイム。
 木下の挑発に乗ってしまった奏多は、ある約束をするのだけれど…… TURNING POINT番外編 第2弾



『 LUNCH TIME PANIC 』


 ザワザワと騒がしい教室の窓際の席で、岡田と俺は購買へ買い出しに行った孝輔と木下を待っていた。
 昼休みの教室は、三々五々に固まって昼飯を食べる奴らの楽しそうな声で溢れかえっていた。

「あいつら、遅ぇなぁ…」

 ぐいっと体を反らして窓枠に凭れかかると、肩から上が窓からはみ出した。 途端に視界が開けて俺の目には青くて高い秋の空が広がった。

「奏多、その恰好 首が痛くなんない?」

「平気。 つか、すんげぇ秋晴れで、なんか気持ちいーわ」

「もう、10月も半ばだしなぁ。 秋だよなぁ」

 俺の言葉に頷きながら、岡田が言った。
 体育祭は とっくに終わり、中間テストも先週で終わった。 来月の文化祭までは少し間があるから まだ準備らしい準備も始まっていなくて、今が一番 のんびりできる時期だ。
 とは言え、高2だから そろそろ受験についても考えないといけないのだろうけど、そんな大それたところへ行ける訳も無い俺としては、まだまだ先といった感が強いんだよな。
 ぼんやりと取り留めも無い思考を巡らせていると、岡田がまるで猫の仔にするように俺の喉をくすぐって来た。

「わっ! やめろよ、くすぐったい!」

「じゃ、もう起きろ。あいつら戻って来たし」

 そう言いながらも、くすぐるのを止めない岡田の手をまえて 慌てて体を起こすと、孝輔と木下が すぐ前の席に座ろうとしている所だった。

「ほら、頼まれてた「いちご牛乳」だ。 んな甘いの、よく飲むな?」

 いいながら、孝輔がいちご牛乳を差し出して来た。

「サンキュ、これ、結構ハマるんだって。 そう言う孝輔は 何買ってきたんだ?」

 孝輔は無表情のまま黙っているけど、目元の僅かな動きで何か言いたくないコトがあったんだと判った。
 何を考えているのか その表情からは判りづらい孝輔だけど、ずっと見ていたら仏頂面なりに僅かな動きで、感情が表に出ているコトに気が付いた。 もちろん全部は読み取れないけど、時々、さっきみたいに判る時がある。
 黙ったままの孝輔に変わって木下が話だした。

「それがさ、おもしろかったんだって。 今日、購買行くの少し遅れたんだけど、着いたら孝輔の大好物のメロンパン、タッチの差で買われちゃってさ〜」

 そう、孝輔の好きな食べ物はメロンパンなんだ。
 このガタイで、この強面で(最近、多少和らいだと思うのだけれど)、メロンパンが好きなんて、俺のいちご牛乳を どうこう言えた義理じゃねーだろ。

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