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□『 Stay With Me 〜 告白の行方 〜 』
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男なのに 男を好きになった自分の気持ちが怖くて、病気なんじゃないかとか考えたりしたし、誰にも相談できなくて、怖くて怖くて…それでも千都勢を好きだと思う気持ちは無くなるどころかどんどん強くなっていって…。
自分の千都勢への気持ちを誤魔化すコトができないと判った時、俺はそれを受け入れるべく開き直ったんだ。
もともと物事を深く考えられるタイプじゃないし、後先考えられるほど慎重でもないから、開き直ってしまえば後はカンタンな話だった。
俺は千都勢に恋心をもったまま、今まで通り 親友としてつきあうコトにしたんだ。

だから、ホントは告るつもりなんてなかったし、一生 親友でいられれば良いと思ってた。
あの日までは…。
去年の12月。確か、最初の日曜日だったと思う。
朝早く出かける途中の千都勢と会った。
どこに行くのか聞いたら、中学入試の模試だと言われた。
あの時の俺のショックは相当なものだった。 だって俺は、千都勢が中学受験するなんて全然知らなかったんだから…。
何の疑いもなく同じ地元の公立中学に行くものだとばかり思っていた。
千都勢がそんな大事なコトを俺に教えてくれなかったコトとか、卒業したら離ればなれになるコトとか考えたらものすごくショックで、その後の冬休みもクリスマスも正月もヘコんだままの暗い気持ちで過ごしてしまった。
年が明けたらアッという間に2月になって、千都勢は少し離れた街にある私立の中高一貫校を受験して、合格した。
その合格の知らせを聞いて俺は決心したんだ。
卒業式の日に千都勢に告ろうって。

告るのを卒業式に設定したのは、いくつか理由があった。
まず一番はフラられた時のコトを考えて…卒業式前に告って玉砕したら、その後顔を合わせるのがツライから…。
次にやっぱりフラられた場合、中学は同じ学校に行かないから、気まずい思いをしなくて済むから…。
あとは、万が一フラれた時――
って、フラれた時のコトしか想定してないなんて、俺って結構後ろ向きだよな。
でも多分、間違いなくフラれる。

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